IT活用の範囲拡大やデバイスの多様化などにより、企業はさまざまなデータを保有しており、そのデータ量は日々増加している。データがあるなら経営に役立てたいと考えるのは、どの企業も同じ。そこでデータ分析ツールを導入することになるが、期待した効果を得るのは簡単ではない。データが悪いのか、ツールが悪いのか、利用者が悪いのか。創業時からデータ解析に注力してきているアイズファクトリーは、国際標準のデータ解析手順を愚直に提供することで、迷えるユーザー企業をサポートしている。(取材・文/畔上文昭)
Company Data会社名 アイズファクトリー
所在地 東京都千代田区
資本金 2億5167万1000円
設立 2000年4月
社員数 50人
事業概要 データマイニング/テキストマイニング/人工知能/数理科学/統計学を用いたデータ解析、システム開発
URL:http://www.bodais.jp/ 標準モデルでデータ解析

大場智康
代表取締役 アイズファクトリーは、2000年の創業時からデータ解析事業に取り組んでいて、300を超える事例を積み重ねてきている。データ解析で採用しているのは、「CRISP-DM(Cross-Industry Standard Process for Data Mining)」モデル。データマイニングツールを提供するITベンダーなどによって策定された標準化手順の一つである。CRISP-DMの特徴は、顧客のビジネスの理解から始めるところにある。そこからデータ解析につながる各プロセスをアジャイル的に回すことで、データ解析へとつなげていく。データ解析ツールを導入して、操作方法を教えて終わりというビジネスではない。
研究者集団がサポート
アイズファクトリーの大場智康代表取締役は、研究者出身で博士号(理学)をもっている。研究者時代は、ビッグバンの手前の宇宙をシミュレーションし、物理法則を検証するといったことを行っていた。「統計データを物理現象にあてはめるというところは、アイズファクトリーのビジネスに通じるものがある」と大場代表取締役。ほかの役員も博士号をもっていて、同社は研究者集団として研究の成果を主力事業のデータ解析やシステム構築に反映させてきている。
データ解析を中心にビジネスを展開してきたアイズファクトリーだが、軌道に乗り始めたのは2010年頃だという。「創業から10年はひどかった。まだ、世の中がデータ分析のムードになっていなかった。それが2010年頃になると、なんとなくデータ解析の時代になってきた。日本企業はほかがやると自分もということになる。2010年頃にデータ解析の事例が出始めたのが要因ではないか」と、大場代表取締役は考えている。以降、多くの日本企業がデータを収集し、蓄積するようになり、「データがあるから何かしたい」といった問い合わせが増えたという。
データ解析を中心にビジネスを展開している大場代表取締役は、システム開発に対して、次のような考えをもっている。「システム構築は、データドリブン(データ志向)でものごとを考えるべきだ。システムそのものに価値はない。システムの価値は、顧客の問題をいかに解決するかにある。結果にコミットしないと、システムは廃れてしまう」。アイズファクトリーは、「売上アップ」「コストダウン」「リスク把握」を必勝サイクルとして回し、ビジネスを成功に導くことに注力している。
AIの取り組みにも積極的
データ解析においては、データサイエンティストの重要性が指摘されることが多い。しかも、データサイエンティストが不足していることを指摘する論調もよくみかける。ところが、大場代表取締役の考えは違う。「データ解析を何のためにやるのか。重要なのはその考え方。データサイエンティストはいらない」。この考えのもと、アイズファクトリーでは、セールスフォース・ドットコムのサービス向け「自動進化型クラウド解析プラットフォーム」をリリースした。データサイエンティストやアナリストが不要で、営業確率を上げるための分析を行う。言語に依存しないロジックを組み込んでいるため、10月には米国でも販売を開始する予定だ。
また、ウェブサイトにおいても、データ解析の活用ニーズがあるという。例えば、ウェブサイトでユーザーが検索ワードを入力する際、候補を表示して入力を支援する機能を構築するといった案件を手がけた。ここでは、過去の入力データをもとに、AIを活用して最適なワードを表示するといった処理を行っている。「ユーザーの興味のど真んなかではなく、端っこのワードを表示して、シズル感というか、ユーザーに気づきを与えるようなことを狙っている」(大場代表取締役)。シズル感とは、購買意欲や食欲など、五感を刺激するような感覚を指す。ユーザーの予想を少し外すことがシズル感につながるというわけだ。
AIのプログラムは、データがなければ機能しない。データ解析を中心に取り組んできたアイズファクトリーには、昨今のAIブームも追い風となっている。