「この人なら任せられる。ぜひ仕事をお願いしたい」こんなことをお客様から言われる営業は、あなたの会社には何人いるだろうか?
既存ビジネスで圧倒的な競争優位がなくても、確実に利益をあげ、継続的な売上拡大を続けている企業がある。そういう企業に共通するのが、営業人材の「魅力」だ。言い換えれば「魅力的な営業」という商品をつくり、それを売りにしている企業だ。私は究極の営業力とは「競合をつくらない力」だと考えている。つまりITのことなら、最初に相談される相手になることだ。そうすれば競合に話しがゆく前にお客様と話を進め、商談を支配できる。競合にはならず確実にビジネスチャンスが与えられる。
これほど効率のいい営業活動はない。売り込みをしなくても、いくらでも仕事が舞い込んでくる。評判を聞きつけてお客様が増えてゆく。そういう営業人材こそ「究極の商材」だ。では、どういう人材が「究極の商材」なのだろう。
【対話力があること】相手の話をただ鵜呑みにするのではなく、しっかりと斟酌しながら自分の考えを述べ、相手の意図や考えをうまく引き出す能力だ。
【勉強好きであること】ビジネス環境やテクノロジーは日々変化している。いまこれが最適であっても明日が同じとは限らない。すべての詳細を理解する必要はない。その脈絡や世の中にもたらす影響や顧客価値を理解することだ。その変化を追い続ける勉強熱心さが必要だ。
【人間好きであること】「一緒に仕事をしたい」「一緒にいて心地いい」「一緒にいると元気になる」。営業にはそんな力が求められる。そうなるためには「基本は笑顔」「弾む会話」「夢を語る」といったことが大切。そして、何よりも「想像力」。相手の状況を想像し、共感し、相手の感情や立場を理解しようとする「思いやり」だ。自分の発言が相手の行動や感情にどのような影響を与えるかを想像できること。相手の言葉の裏側にある真意を想像できること。相手がどうなれば幸せになれるかを想像できること。そういう能力が大切になる。
ここに掲げた要件を満たす人材など簡単にはみつからない。だから「魅力的な営業」という商品開発が必要だ。二番煎じや思い込みだけの新規事業開発などに労力を割くよりも、よほど企業の成長ドライバになるだろう。
ネットコマース 代表取締役CEO 斎藤昌義

斎藤 昌義(さいとう まさのり)
1958年生まれ。日本IBMで営業を担当した後、コンサルティングサービスのネットコマースを設立して代表取締役に就任。ユーザー企業には適切なITソリューションの選び方を提案し、ITベンダーには効果的な営業手法などをトレーニングするサービスを提供する。