愛知県名古屋市にオフィスを構えるジャスウィルは、大学を中心に教育機関に特化した製品・サービスを提供している。授業で使う教室の一括・時限単位で予約が可能な施設予約をはじめ、職員の煩雑な業務を改善するシステムが好評で、順調に売り上げが増加。今後も、右肩上がりで推移するとは捉えているが、少子化の影響で教育機関だけに絞ったビジネスモデルでは大きく飛躍できないと判断している。そこで、これまでのノウハウを生かして、他業種への製品・サービスの展開を模索している。
Company Data会社名 ジャスウィル
所在地 愛知県名古屋市
資本金 1200万円
設立 2004年5月
社員数 約20人
事業概要 教育機関向けのシステム開発やパッケージソフトの開発・販売、ITソリューションに関するコンサルティング
URL:http://www.jaswill.co.jp/ 東京を中心に10大学をユーザーに

吉田隆幸
代表取締役 ジャスウィルが教育機関向けに提供しているパッケージは「TriR Campusシリーズ」。授業の教室予約が一括や時限単位でできる「施設予約システム」、ウェブで授業評価アンケートの実施やアンケート結果と成績を絡めた分析も可能な「アンケートシステム」、科学研究費の管理に特化して予算編成・予算執行・決裁・支払・報告書作成までをサポートする「科学研究費システム」、卒業生と在学生、入学志願者に交流の場をウェブで提供する「卒業生システム」の4種類を揃えている。パッケージでの提供がメインだが、最近ではクラウドサービスでの提供も開始した。2009年にスタートし、現段階の顧客は10大学。東京を中心に名門大学の導入が多い。
関東圏にオフィスを構えず、名古屋を本拠地としているにもかかわらず、東京を中心とした大学をユーザーとして獲得しているのは、「サイトで体験版を使えるようにしたところ、本格的に導入したいという問い合わせが出てきたから」と吉田隆幸・代表取締役はサイトが営業ツールになっている状況を語る。
ニーズを迅速に製品化する技術力
ジャスウィルの社員はシステム担当者がほとんどという。とくに営業担当者は配置していない。そのような状況でTriR Campusに関して問い合わせがくるのは、「大学の職員が悩んでいることを迅速に製品化しているからではないか」と吉田代表取締役は捉えている。大学職員への徹底的なヒアリングによって、現場の業務負担を大幅に軽減するシステムに仕上げているのだ。設立当時から教育機関向けビジネスに特化していることが、現場の声を吸い上げることができる要因となっている。
システム担当者は、社内で開発に従事するだけではなく、担当者として顧客を訪問する。吉田代表取締役自身も顧客と情報交換する機会は多い。そういったことの積み重ねによって、「顧客が抱えている課題を熟知し、開発に生かし、満足してもらうためのバージョンアップを細かく実施している」という。このビジネススタイルが口コミで伝わって、問い合わせが増えているのだ。
加えて、「大手と比べて価格が圧倒的に安い」と吉田代表取締役はアピールする。教育機関向けに業務改革を実現する製品・サービスを提供するITベンダーは多く、競争が激しい市場でもある。一方、教育機関の“懐具合”は少子化で入学する生徒数が減少しており、決してよいわけではない。こうした状況も顧客がTriR Campusを選んでいる理由だ。パッケージよりも初期投資を抑えることができるクラウドサービスを「試したい」という声も殺到しているという。
パートナーシップで事業拡大を模索
ジャスウィルではパッケージ、クラウドサービスとも堅調に顧客が増えていくと予想しており、「今後2~3年は成長する」とみている。しかし、少子化の波はさらに加速しており、また最近では海外留学を希望する傾向も高まっている。このような状況を踏まえて、吉田代表取締役は「今後は、教育機関だけに特化するビジネスモデルはリスクが大きい」と捉えている。
そこで、施設予約システムなどの技術を生かして、他業種で新規顧客を開拓することにも取り組んでいる。例を挙げると、クレーンのレンタル会社から配車システム構築の案件を獲得、今秋に稼働を開始する予定だ。SES(システムエンジニアリングサービス)で他業種の顧客企業に社員が常駐するケースも出てきている。さまざまな業種のノウハウを吸収することが狙いだ。また、「当社のノウハウと連携することで新しいソリューションを創造できるような技術をもっているSIerとパートナーシップを組んでいきたい」との考えを示している。
もちろん、教育機関向けビジネスを継続して手がけていき、「職員の業務を改善するシステムの提供だけでなく、大学が生徒数を増やせるようなIT化にも着手していきたい」としている。そのためには、ジャスウィル自身が変革する必要性も吉田代表取締役は認識している。