ブロックチェーンを活用したビジネスが本格的に立ち上がり、市場が形成されていくための条件は何か。少なくとも、エンジニアや関連ビジネスを企画するビジネスパーソンに、しっかりと知識・情報が浸透している必要がある。(取材・文/本多和幸)
現状、ブロックチェーンをビジネスの種にしようとしている既存のITベンダーは、どうやってエンジニアを育成しているのか。ブロックチェーンにいち早く注目した専門のスタートアップ企業と実証実験プロジェクトを一緒にやりながら、OJT形式で技術を学ぶというパターンが一般的だ。しかし、こうした「個別対応」だけでは、ブロックチェーン関連ビジネスの市場形成・拡大の基盤づくりには、つながりづらいという課題があった。 そこで、業界団体が立ち上がった。本連載の第6回でも紹介したように、ブロックチェーン推進協会(BCCC、平野洋一郎理事長)は第1回の総会で、ブロックチェーンに関する体系的な情報提供、教育の場として「ブロックチェーン大学校」を開校する計画を明らかにしていたが、早くも8月17日に最初の授業がスタートした。
ブロックチェーン大学校がついに開校
BCCCの会員企業であるビットバンクがカリキュラムを提供するとともに、同社の技術顧問であるビットコイン研究者のジョナサン・アンダーウッド氏が講師を務める。

1期生は30人。初回から熱心に聴講
ブロックチェーンについては、いまだに専門家、技術者の間でもさまざまな評価が錯綜している状況だが、ビットバンクがブロックチェーン大学校で提供するカリキュラムは、米ブロックチェーン・ユニバーシティが提供する教育プログラムを同社が独自にアップデート、ローカライズしたものだという。そもそもブロックチェーンはビットコインとともに生まれた技術だが、まずはこのオリジナルの実装システム・サービスであるビットコインについて体系的な知識・技術を習得する。
BCCC副理事長であるテックビューロの朝山貴生社長は、「ブロックチェーンを深く理解するためには、まずビットコインを理解することが不可欠。ブロックチェーン・ユニバーシティのカリキュラムはシリコンバレーでも定評がある」と話す。
BCCC会員企業に所属していることが受講の条件だが、「ブロックチェーン大学校への期待が会員増を後押ししている」(平野理事長)という。BCCCは今年4月に発足したが、発起メンバーが34社だったのに対して、ブロックチェーン大学校開校時点で会員企業は80社に達している。