レキサスを中心とした「2000億円の経済圏」を2030年までにつくる!──。沖縄で創業したレキサスは、県内外のユーザー企業などと協業して新商材開発を推し進めている。例えば結婚式場向けのオンラインアルバムサービスや、ペット業界向けのクラウド型顧客/会計管理システム、リハビリ事業者向けのリハビリ支援タブレット用アプリなどの商品を次々と開発。2000億円の経済圏とは、レキサスのITソリューションを活用してユーザー企業が伸ばした売上分を含めた一大経済圏のことである。
Company Data会社名 レキサス
本社所在地 沖縄県うるま市
資本金 1億2500万円
設立 1998年10月
社員数 約70人
事業概要 沖縄に本社を置くレキサスは、創業早々からSaaS/クラウド方式のストックビジネスを重視してきた。一過性のソフト開発だけでなく、月額課金のサービスで収益の基礎を固めることで、独自の新商材の開発投資の原資としている。
URL:http://www.lexues.co.jp/ 地方は人月40~60万円で甘んじる

比屋根 隆
代表取締役社長 レキサス創業者の比屋根隆社長は、沖縄国際大学在学中にアルバイトでIT系の企業の手伝いを始めたことがきっかけとなり、情報サービス業界へ進むことになった。当時は「沖縄県マルチメディア・アイランド構想」が推し進められており、ソフトウェアの受託開発(ニアショア開発)やコンタクトセンターの沖縄誘致が本格化していた時期。この流れに乗るかたちで1998年にレキサスを起業。東京の事務所も開設して、いざ受託ソフト開発の仕事に取り組んだが、すぐに「納得できないこと」(比屋根社長)に直面する。
東京の人月単価と、沖縄を含む地方の単価に大きな差があるのだ。当時、同じ仕事でも東京だったら人月100万円のところ、地方なら40~60万円の水準。沖縄に進出している大手ITベンダーに勤務している知り合いのSEに聞いても、「まぁ、そんなもんだ。知らなかったの?」と言われる始末。これではダメだと考え、受託仕事もやりつつ、「自分たちで値付けできる独自の商材の開発に乗り出す」ことを決断。コラボレーションソフトやモバイルコンテンツの変換サービス「Pure AXIS(ピュア・アクシス)」を開発したところ、想定以上の大ヒットとなった。
月額課金で得た収益で新商材を開発
とくに、Pure AXISは当時まだ珍しかったASP(今でいうSaaS方式)で提供したことで、少ないながらも毎月安定的に売り上げが立つようになった。当時のガラケー(従来型携帯電話機)のソフトウェア・プラットフォームは、現在のスマートフォンに比べてキャリアやメーカーによる差異が大きく、コンテンツの互換性が低かった。Pure AXISは自動的に適した形式に変換するサービスとして、オンライン取引を重視する証券会社や、モバイルコンテンツを配信する会社から次々と受注を獲得していくことになる。
比屋根社長が目指していた独自商材の開発には先行的な費用がかさむため、「Pure AXISをはじめとする月額課金で安定して売り上げが立つストック型のビジネスを起業早々に立ち上げられたことが、独自商材の開発の助けになった」と、収益のベースがあったからこそ自前の商材開発に資金をまわしやすかったと話す。また、一度は出した東京拠点を早々にたたみ、沖縄からメールと電話だけで営業したことも、販管費の削減、サービスの価格競争力の強化に役立った。
とはいえ、パッケージソフト専業ベンダーではないレキサスにとって、継続してヒット商品を開発できる保障はどこにもない。そこで取り組んだのが、さまざまな業種業態のユーザーとオープンイノベーションの手法を採り入れた共同開発だった。
オープンイノベーションを積極採用
例えば、結婚式場でのアルバム制作は、意外にアナログ作業が多いことに着目し、新郎新婦にオンラインで写真を選んでもらい、満足度の高いアルバム作成につなげるサービス「Photo Bridge(フォトブリッジ)」を開発。アルバムのレイアウト、製本も請け負うことで、結婚式場の負荷軽減、新郎新婦の満足度向上につなげている。
他にも獣医向け顧客・会計管理システム「Halope(ハロペ)」シリーズは、クラウド方式のサービス形態で、タブレット端末にも対応。獣医は多忙を極め、診察や検査、往診にも出かけることを考慮し、「Microsoft Azure」などのクラウド基盤の上にシステムを設置。どこからでも、どのような端末からも業務システムを呼び出せるアーキテクチャにした。介護事業所向けのリハビリ支援のアプリケーション「ADOC(エードック)」もタブレット端末を前提に開発している。
これら商材は、基本的に顧客や当該業種の研究コミュニティなどと協業して開発するケースが多くを占める。こうしたオープンイノベーションの手法を採り入れる以上、つくった商材やサービスで協業パートナーの売り上げや利益を伸ばすことがゴールとなる。この伸びしろを足し合わせていった経済効果を2030年までに2000億円規模へと拡大させる。この8月には18年ぶりに東京事務所を復活させ、首都圏での営業・サポートを強化。「沖縄発のレキサス経済圏を創出し発展させていく」と、比屋根社長は高らかに宣言する。