サイバー大学 IT総合学部教授 勝 眞一郎
略歴
勝 眞一郎(かつ しんいちろう)

1964年2月生まれ。奄美大島出身。98年、中央大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年、ヤンマー入社、情報システム、経営企画、物流管理、開発設計など製造業全般を担当。07年よりサイバー大学IT総合学部准教授、12年より現職。NPO法人離島経済新聞社理事、鹿児島県奄美市情報通信IM。「カレーで学ぶプロジェクトマネジメント」(デザインエッグ社)などの著書がある。
インターネットとブログ、そしてニュースメディアの登場により、世の中の情報量は爆発的に増えた。あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)と同様に、あらゆる人が記者として発信するWoE(Writer of Everyone)の時代が訪れている。
DeNAが運営する医療・健康系情報サイト「WELQ」は、専門性のない外部のライターにクラウドソーシングサービスを経由して安価に大量発注し、不正確な記事が掲載されていたことが問題になった。検索サービスでは、SEO対策された記事が検索結果の上位にくるため、さも正しい情報のようにみえ、読者は信用してしまう。
先の米国大統領選においても、さまざまな情報操作があったといわれている。私たちは、情報で動き、情報で判断し、情報で気持ちが左右される。そのもととなる情報の信頼性が揺らいでいる。間違った情報に従って間違った判断をしないように自己防御を考えなければならない。
こうした嘘の情報による操作は、今に始まったことではない。古くから情報戦は盛んに行われてきた。第二次世界大戦における英国BBC放送のノルマンディー上陸作戦への関与は有名である。中立的であると信用されていたBBC放送が、異なる上陸地点の情報を意図的に流したとされている。
現在は残念ながら、日常において信頼がおけるメディアの数は減り、調査が不足であったり、偏っていたりするケースが多い。間違ったニュースを大量のメディアが引用し、いろいろなルートから情報が伝わってくると、さも真実のように思えてしまう。その情報に従って行動し、しばらくたってから、「あれは嘘でした」と言われても、とった行動は取り返しがつかない。
そうしたなか、期待が寄せられるのが情報の確かさを測定する人工知能の開発である。取材内容、校閲や査読の有無、根拠となるデータ、過去の評価などがパラメータとして考えられる。しかし、「ふだん、真実を述べている人の嘘には騙されやすい」という、先のBBC放送のケースもある。専門家による開発を待ちたい。そうした情報の確かさが測定できたとしても、最終的には個人の情報を判断する力に頼ることになる。ふだんから情報に接し、自ら考える力を磨かねばならないことは確かなようだ。
サイバー大学 IT総合学部教授 勝 眞一郎

勝 眞一郎(かつ しんいちろう)
1964年2月生まれ。奄美大島出身。98年、中央大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年、ヤンマー入社、情報システム、経営企画、物流管理、開発設計など製造業全般を担当。2007年よりサイバー大学IT総合学部准教授、12年より現職。NPO法人離島経済新聞社理事、鹿児島県奄美市産業創出プロデューサー。「カレーで学ぶプロジェクトマネジメント」(デザインエッグ社)などの著書がある。