国の方針で、訪問診療や往診といった在宅医療・介護が推進されていますが、そこで浮かび上がる課題の一つが、医療関係者間の情報共有です。医療現場で使えるコミュニケーションツールとして、シェアメディカルでは専用のチャットサービスを開発しました。
どんな会社なの?
峯 啓真
代表取締役CEO
医療用チャットツール「メディライン」を開発・提供しています。
シェアメディカルでは、「つなぐ」を社是とし、医療関係者向けに人と人、人と情報をつなぐIT製品を開発・提供しています。創業当初は医療系システムの受託開発からはじめ、最近では医療従事者向けのチャットツール「メディライン」がメイン事業となっています。
峯啓真代表取締役CEOいわく、メディラインは、いわば「医療用のLINE」です。機密性の高い医療情報を扱うため、一般的な個人/法人向けチャットツールとは異なる特徴をもっています。
そのうちの一つがセキュリティ。医療情報の取り扱いなどに関して厚生労働省、経済産業省、総務省が出している「3省4ガイドライン」に準拠し、データ通信はSSLと、金融機関や軍用にも利用されている「AES-256bit暗号」によって暗号化されています。
また、誰でも使えることを意識して、「なるべくシンプルに、かつ自分たちでもカスタマイズできるようにしている」(同)とのこと。グループの参加メンバーは、管理者だけが選定できるようになっていることも特徴です。
メディラインは単体で導入できますが、「専用のスマートフォンを開発中で、ハードウェアと組み合わせて提供することも考えている」(同)といいます。現時点で、50件弱の施設が導入しており、これまではインバウンドの対応のみでしたが、今年4月から代理店経由での販売を強化していく方針です。峯代表取締役は、「一定の医療機関のアカウントを保有している企業と協力できれば」と話します。
今後の方向性は?メディライン向けに、AIなどの最新技術を活用した付加サービスを順次開発していきます。
現在、メディラインを活用して、医師や看護師、薬剤師といった医療関係者が患者の記録を作成するときに必要な情報をすばやく導き出せるような「サマリーエンジン」を開発することに注力しています。これに関しては、「『IBM Watson』を活用して研究開発を進めている」(同)とのことです。
ゆくゆくはメディラインをプラットフォームとして、パートナーなどと協力し、さまざまな機能を提供していくことを構想しています。
よろしくシェアメディカル
今回の取材時、峯代表取締役がスクラブ(医療用白衣)を着て現れたことに驚きました。理由をたずねたところ、仕事のときはいつも着用することにしているとのこと。患者の命にも関係する医療システムに携わる者として、「医療従事者としての自覚と責任」を示しているのだそうです。ITで医療に貢献できることについて熱く語ってくれました。シェアメディカルは「メディライン」でイッポ前へ!