既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(46)データの相互利活用を加速させるブロックチェーン
2017/06/21 09:00
週刊BCN 2017年06月12日vol.1681掲載
ブロックチェーンがどのように社会に実装され、どんな変革を起こしていくのか、現時点ではまだ想像しづらい。ブロックチェーンに技術の開発やビジネス化に積極的な国産大手ベンダー各社は、そうした状況にあるからこそ、商機も大きいとみているようだ。(取材・文/本多和幸)
富士通は6月5日、富士通研究所が開発した分散データアクセス制御技術である「富士通VPX(Virtual Private digital eXchange)テクノロジー」を使って、安心・安全なデータ流通ネットワークを実現するソフトウェアを開発したと発表した。17年度内の製品化を目指す。
富士通VPXテクノロジーは、ブロックチェーンの機能を拡張した技術だという。データの属性情報とデータの保管場所に紐づいたID情報をブロックチェーンの分散台帳に登録。これにアクセス権限の設定機能などを付加し、登録データを取得できる利用者を限定できるようにした。さらに、独自のスマートコントラクト(事前に設定された条件にもとづいて自動的に契約を実行する機能)を搭載し、データの提供者と利用者のデータのやり取りを自動化できるようなプログラムを組むこともできる。富士通が今回開発したソフトウェアを利用して、複数の組織や企業が参加するデータ流通ネットワークを構築することで、「参加者間での安心・安全かつ迅速なデータ取引を実現できる」としている。
ハイパーレジャー・ファブリックをもとに
独自のスマートコントラクトを開発
データアクセス制御にブロックチェーンを使うことで、どんなメリットが生まれてくるのだろうか。同社はまずデータ活用の現状について次のように指摘する。「IoT、AI、ビッグデータ解析の活用によって新しい価値創出を目指す取り組みが世界的に加速しているが、その実現には多様なデータが大量に必要になり、さまざまな組織や個人が保有するデータを相互利活用していくことが重要。しかし、従来の一般的なデータ相互利活用の仕組みでは、データ提供者は保有するデータを外部環境に預けなければならない。そのため、セキュリティやプライバシーなどの懸念から、企業や組織の枠を超えた相互利活用があまり進展していない」。
富士通はこうした課題を踏まえ、データを外部環境に出すことなく、既存の環境に置いたままで相互利用するには、分散環境を前提としたデータ流通ネットワークを実現する技術が有効だと判断した。
なお、同社は日立やNECと同様、The Linux Foundationのブロックチェーン技術開発プロジェクト「ハイパーレジャー・プロジェクト」のプレミア・メンバーだ。今回発表したソフトウェアには、同プロジェクト発の代表的なブロックチェーンプラットフォームで、IBMが主導する「ハイパーレジャー・ファブリック」をベースに、独自のスマートコントラクトを開発・実装した。
ブロックチェーンがどのように社会に実装され、どんな変革を起こしていくのか、現時点ではまだ想像しづらい。ブロックチェーンに技術の開発やビジネス化に積極的な国産大手ベンダー各社は、そうした状況にあるからこそ、商機も大きいとみているようだ。(取材・文/本多和幸)
続きは「週刊BCN+会員」のみ ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新) SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…