前号でも紹介した通り、米国国立標準技術研究所(NIST)で高い評価を受けたNECの顔認証技術。他社の技術と比較してどの点で優れているのか。また、今後の顔認証ソリューションに必要なものは何か。NECの優位性、取り組みをまとめる。 (山下彰子)

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「NeoFace Accelerator Platform」を使った顔検出デモンストレーション

 NISTの顔認証ベンチマークテストでは2009年、10年、13年に静止画認証で、また、17年には動画認証でそれぞれ1位を獲得したNEC。同社の中央研究所で、各社のエンジンと比較を行った。顔認証技術は、精度、検出・認証のスピード、照合人数などが評価のポイントとなる。空港をイメージした乗客ゲート評価では、屋内で、ウォークスルーする対象人物の顔の検出・認証を行った。その結果、世界的に顔認証技術の高い企業の顔認証エンジンで、エラー率は数パーセントだった。2位の企業では3.6%だったが、NECはわずか0.8%とエラー率を4分の1に抑えた。

 競技場評価は、屋外での実験に加え、対象人数が多い、対象人物まで距離がある、顔の向きが一定ではない、など乗客ゲート評価に比べ条件が厳しい。そのため、エラー率は高まり、2位の企業でもエラー率36.8%と高めとなった。それに対して、NECはエラー率を14.6%に抑え、NISTから「実環境に耐えうる」との評価を得たという。

 顔認証技術はスピードを重視し、精度を下げると誤った認証を行ってしまう。一方、精度を重視してスピードを落としても、滞留が生じてしまう。スピードと精度の両立が重要になるのだ。鈴木武志・TCI事業部 セーフティ事業戦略室 マネージャーは「NECは両方を重視し、実用に耐えるものを顧客に提供している。この点が大きな強み」と話す。

 今後、顔認証技術のニーズは、静止画認証から動画認証へとシフトしていく。静止画に比べて動画認証は扱うデータ量が増える。さらに照合人数が増え、照合回数が増えていく。こうなるとソフトウェアだけで結果を出すのは限界があり、ハードウェアの強化も必要となってくる。こうした未来を見据え、NECは顔認証ソフトウェア「NeoFace Watch」を搭載するIAサーバーに、「NeoFace Accelerator(ネオフェース・アクセラレーター)」を搭載。ハードウェアの性能を高めることで、顔の検出時間を従来比で20倍にも高速化できるという。

 NECは顔認証技術でスピードと精度を両立し、さらに顔認証ソリューションでは最適なソフトウェアとハードウェアの両方を提供できる体制を整えている。次号は、グローバルの市場で培った顔認証技術やノウハウを国内のエンタープライズ向けに提供している実例を紹介する。