おさらいキーワード
<おさらいキーワード>第33回 強いAI、弱いAI
2017/09/20 09:00
週刊BCN 2017年09月11日vol.1693掲載
強いAI
人工知能(AI)の特徴を示す用語。人間と同じように自ら思考し、意思決定できるAIを指す。専門家の間でも意見は異なるが、「自我」や「意識」「知性」をもったAIとして捉えられることが多い。
強いAIは、米国の哲学者、ジョン・サール氏が1980年に発表した論文のなかで初めて使った。サール氏は論文で、「適切にプログラムされたコンピュータは心になる」との内容の記述をしている。
AIに関する研究は、人間の脳をコンピュータで再現することを目的に、1950年代に始まった。強いAIの実現が、研究の最終的な目標とされている。
ディープラーニングの開発がきっかけで第三次AIブームが巻き起こった現在も、まだ強いAIは実現されていない。今後も実用化は不可能との意見がある。
強いAIは、現時点で実在しないため、決まった定義も存在しない。わかりやすい例として取り上げられることが多いのは、SF映画やマンガ、小説などのなかで、人間とともに生活しているロボットだ。
具体的には、人間のプログラミングで設定された機能だけでなく、自らの判断で人間のように行動したり、進化したりできるAIといわれることが多い。
最近では、「暴走したAIが人間を支配する」という意味でシンギュラリティ(技術的特異点)が取りざたされている。
シンギュラリティが起こるかどうかは、強いAIの実用化が大きく影響すると考えられている。
弱いAI
左欄の「強いAI」と同様に、米国の哲学者、ジョン・サール氏が1980年に論文で使った用語。現在は、人間が決めた範囲のなかで動くAIを指す際に用いる。
弱いAIは、人間が事前に入力した情報をもとに推論し、適切な結果を導き出すことができるのが特徴。自我や意識、知性はもたない。
有名なのは、グーグルの子会社「DeepMind」が開発した「AlphaGo」(アルファ碁)。「AIが人間に勝つのは難しい」といわれていた囲碁で、初めて人間のトップ棋士に勝利し、世界的に大きな注目を集めた。
また、将棋の名人棋士に勝った日本の「PONANZA」(ポナンザ)などもある。ほかにもさまざまなAIがあるが、今のAI研究は弱いAIが中心になっている。
弱いAIは、人間が一定のルールを入力する「ルールベース」や、専門家の知見を生かした「エキスパートシステム」を使って実用化する動きがあった。
しかし、AIに人間のような振る舞いをさせることは難しく、AI研究はブームと冬の時代を繰り返してきた。
その後、ディープラーニングによってAIの性能は飛躍的に進歩した。人口減少に伴う労働力不足が問題となっている日本では、人間の代わりに働く存在として、さまざまな業界で実用化が期待されている。
サール氏は論文のなかで、弱いAIの定義について論述しておらず、コンピュータと研究の関係を説明する要素として使っていた。
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