シンクライアント

　利用する端末の機能を最小限にして、ほとんどの処理をサーバー側で管理する仕組み。セキュリティを強化し、情報漏えい対策として効果を発揮することが期待できる。

　シンクライアントは、1990年代に使われ始めた用語。米オラクルが、CPUなどを省いたNC（Network Computer）を開発したのが最初だといわれている。その後、他社からも同じような製品が発表されたが、一般的に定着することはなかった。

　「シン」は、「薄い」を意味する「thin」。反対に機能が多い端末のことは、「太った」を意味する「fat」や「厚い」を意味する「thick」を使い、「ファットクライアント」や「シッククライアント」という。

　処理方式は、サーバーでアプリケーションを動作させ、端末に画面の情報だけを転送する画面転送方式が最も普及している。ほかに、仮想PCをクライアント端末から操作するブレードPC方式などもある。

　シンクライアントでは、OSやアプリの更新をサーバーで一括して行うことができるため、管理が容易なのが最大の特徴。端末に内蔵されているストレージへの書き込みやUSBポートの利用を制限することもできる。

　シンクライアントは、外出先でも職場と同じ作業環境で仕事ができるため、働き方改革であらためて注目されている。IDCジャパンが2017年7月に発表した市場予測では、国内のシンクライアント仮想化ソリューション市場は右肩上がりを続け、21年の市場規模は8927億円に達するとしている。

テレワーク

　時間や場所の制約を受けない働き方。実施するためにはインターネットなどのITの活用が欠かせない。働き方改革の一環で、国が導入の拡大を促進している。

　テレワークは、1970年代に米国で誕生したと考えられている。当初は違う呼び方だったが、現在はテレワークが用語として浸透している。ちなみに、欧州では「eWork」がテレワークと同じ意味の言葉として使われている。

　日本では、80年代がテレワーク黎明期。本格的に取り組んでいたのはNECで、80年代から90年代にかけて、サテライトオフィスを設置し、結婚や出産を機に退職する女性社員の継続勤務を促した。

　テレワークは、企業などに所属する「雇用型」と、個人事業主などが該当する「自営型」がある。雇用型では、自宅で業務にあたる「在宅型」と外出先で仕事をする「モバイル型」、サテライトオフィスなどを利用する「施設利用型」に分類できる。

　2011年3月の東日本大震災の発生後、災害発生時の事業継続の必要性が重要視されるようになり、テレワークも注目された。最近では、働き方改革がきっかけで高い関心が集まっている。

　国は、人口減少で問題になっている生産性の向上にテレワークが役立つとして、20年までに、12年度比3倍の企業に導入してもらうことを目標に掲げている。導入企業数は徐々に増えているものの、情報漏えい対策や社員間のコミュニケーションの確保、勤務時間の管理などが課題となる場合が多い。