新年、あけましておめでとうございます。
太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低い状態が続く「ラニーニャ現象」が発生しているという。日本では、西高東低の気圧配置が強まり、厳しい冬になりそうだ。とくに日本海側では、雪が多くなる可能性が指摘されている。
その日本海側にある私の故郷・山形県酒田市は、積雪量はそれほどでもないが、下から吹き上げるような地吹雪が特徴だ。年末年始の帰省では、飛行機の予約が取れなければ、片道約5時間をかけて電車で移動することになる。東京から新潟までは新幹線、新潟からは羽越本線の特急「いなほ」に乗る。村上市あたりから大荒れの日本海が見え始め、山形県に入っても、鶴岡市あつみ温泉を過ぎるあたりまでその景色は続く。
現在も、東京からみた交通事情でいえば“陸の孤島”に近い酒田市だが、製造業の分野では、IoTで生産プロセスの最適化を図るDXの事例が出てきたり、地元のベンチャーが中心となって、ITを活用した新産業育成のコミュニティを形成したりという取り組みが出てきている。週刊BCNは近年、地方IT市場の取材を強化しており、こうした動きが全国各地で興りつつあることを肌で感じている。一方で、地場のSIerや事務機ディーラー、大手ベンダーの支社・支店でITビジネスに携わる人と直に接すると、新興技術や最新の市場動向に対する情報に飢えていることがよくわかる。地域のIT産業全体からみれば、デジタルの世界に足を踏み入れて新しいビジネスに携わることができているプレイヤーはごく少数だ。
週刊BCNでは毎年末、約70社の有力ベンダーのトップに直接会い、インタビューしている。国産ベンダーをガラパゴス環境でしか生きられないと揶揄する向きもあるが、非連続の変化の時代にしっかり向き合うべく、取材する側からみても納得できる経営方針、事業戦略を打ち出しているベンダーが増えているように感じる。しかし、そのある種「立派なメッセージ」は、全国のITビジネスの現場には十分に浸透しておらず、IT産業界における情報の偏りや非対称性は、デジタル時代になろうとする現在も依然として存在している。その課題のなかにこそ、週刊BCNが果たすべき役割が存在すると確信している。
週刊BCN 編集長 本多和幸
略歴
本多 和幸(ほんだ かずゆき)

1979年6月生まれ。山形県酒田市出身。2003年、早稲田大学第一文学部文学科中国文学専修卒業。同年、水インフラの専門紙である水道産業新聞社に入社。中央官庁担当記者、産業界担当キャップなどを経て、13年、BCN入社。業務アプリケーション領域を中心に担当。18年1月より現職。