オンライン会議で定着した作法として、開始前に使用する資料の共有、開始時のチェックイン、終了時のチェックアウト、そして議事メモの共同執筆がある。

 多くの場合は「Google Docs」を使うが、「Word」でも共有は可能だ。複数の人が同時に書き足していく作業は効率的で即時性があり、その場で本人の発言内容の記述が確認できるので、実は革新的な作業変革である。

 ミーティングで私がよく使うのが、オンラインホワイトボードというカテゴリーの「Miro」だ。付箋を貼っていく作業をオンラインで行うことができる。こちらも同時に複数人で作業ができる。

 Google DocsもMiroも同時に作業ができるため、離れていながら時間と空間を共にしている感覚になる。実際にネットを通して同じデータを更新しているので、「作業を共にしている」という解釈は正しい。私は、こうした仕事の仕方を共同作業環境と呼んでいる。

 いまだに、各自が議事メモを取って各自のフォルダーに格納しているようであれば、即刻止めたほうがいい。そのファイルは、その後ほぼ検索されることも開かれることさえないからだ。

 この共同作業環境を成立させているのは性善説だ。編集権限を持っている人が、同じ目的でその場で生み出されることについて協調して参加しているからできることだ。そうでない人が参加して、誰かが書いているものを勝手に消したり、悪意をもって改ざんしたり、移動させたりする、ということがあると成り立たない。

 修正や削除、移動などがあっても、それは参加しているメンバーが見ている場で合意された変更であって、誰かが自分のためだけに行なっていることではない。

 もし、参加者の中に議事メモを共同執筆するにはふさわしくないという人がいる場合は、編集権限を「閲覧者」に制限することができる。

 テレワークやオンライン会議という作業形態が浸透し、この同時共同作業は明らかに利用が進んだ技術だ。今後、録画情報への埋め込みや音声認識による自動議事メモなど、もっと便利な機能が開発されるであろう。座っているだけで会議に貢献しない人を排除するためにも、会議への貢献スコアなどの機能も個人的には期待している。

 
勝 眞一郎(かつ しんいちろう)
勝 眞一郎(かつ しんいちろう)
 1964年2月生まれ。奄美大島出身。98年、中央大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年、ヤンマー入社、情報システム、経営企画、物流管理、開発設計など製造業全般を担当。2007年よりサイバー大学IT総合学部准教授、12年より現職。総務省地域情報化アドバイザー、鹿児島県DX推進アドバイザー。「カレーで学ぶプロジェクトマネジメント」(デザインエッグ社)などの著書がある。