大阪市に本社を置くコンピューターマネージメント(CMK)は、北は仙台、南は福岡まで拠点を展開し、大手ユーザー企業やコンピューターメーカー、大手SIerとの大型案件を中心に長期で安定した取引関係を確立しているSIerだ。売上高全体の約4割を占めるユーザー企業からの元請け案件のうち、西日本地区は約7割、東日本地区は約3割を占めている。情報サービス産業協会(JISA)の理事で、関西地区会代表幹事を兼務する竹中勝昭社長に話を聞いた。
(取材・文/安藤章司)
売上高は過去最高を更新中
――CMKのビジネススタイルについて紹介を。
当社は大規模案件を主力とするSIerで、直近のおおまかな売り上げ構成比はユーザー企業からの元請け案件が約4割、大手SIerからの案件が約4割、大手コンピュータメーカーからの案件が約2割を占める。2023年3月期の売上高は前期比7.8%増の70億円と9期連続で過去最高を更新する見通しだ。
――大規模案件を指向しているのは、どのような理由からか。
大手ユーザー企業やITベンダーの大型案件は、取引そのものが長く、安定したものになることが多い。実際、当社の売上高全体のうち10年以上続く取引先が占める割合は6割余り、うち30年以上の割合は約3割を占めている。
例えば、ガス会社向け顧客管理や商社向け倉庫管理、医療機器メーカー向け生産管理など有力企業向けの案件が多い。ほかにも銀行の勘定系や自治体の土木事務管理などの金融、公共の案件も手掛けている。ある程度の規模感のあるシステムを長期間にわたって請け負うことは、じっくりと腰を据えた人材育成ができる利点もあり、SEの安定稼働、知見や技量の蓄積による生産性の向上で粗利率の向上も見込める。
社長
竹中勝昭
変化に強いビジネスモデル
――コロナ禍の約3年間でビジネス環境にどのような変化があったか。
顧客接点や業務のデジタル化、リモートワークを取り入れた新しい働き方などで大きな変化があったが、当社からの視点に限定すれば、業務や働き方が変わると必ずITシステムにも手を加えなければならない。そうした意味でシステムの手直しや更改といったビジネスが途切れなかったと言える3年間だった。
さらに、当社はBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)や保守・サポート、長期の開発案件などストックビジネスの比率が売上高の半分程度を占めるため、景況感に左右されにくい収益構造になっているのもプラスに働いた。
――22年7月に本社オフィスを大阪・梅田駅前の再開発の一環で新築された大阪梅田ツインタワーズ・サウスに移転しているが、その理由は。
以前の本社は梅田から見て大阪湾の方面にある弁天町で、今でもそこには当社のBPOセンターがある。弁天町の周囲はビジネス拠点にするには宅地化が進みすぎて、会社の顔である本社を置いて商いをするには、少し違和感を覚えていた。ちょうどそのとき、梅田駅前の再開発でオフィスビルの新築が進み、入居できる機会に恵まれたため移転を決めた。約8000万円ほどの移転費用がかかったが、ビジネス街として活気がある場所に本社を構えたほうが、将来的にメリットが大きいと判断した。
私には夢があって、当社を早く年商500億円規模のSIerに育てたいと思っている。そのためにはまずは年商100億円、その次に200億円と伸ばしていくに当たって、本社もそれなりの場所に置くべきとも考えた。
JISA関西地区会を盛り上げる
――竹中社長は情報サービス産業協会(JISA)の理事で関西地区会代表幹事を務めているが、JISAの関西での活動はどうか。
コロナ禍期間中はJISAの理事会もオンラインで参加したり、関西地区での対面での活動も思うようにできなかった。これからは対面方式を取り戻して、オンラインとハイブリッドでできるようにしたい。
――コロナ禍期間中、記者向けの事業説明会も十分に開かれず、JISAの活動も地味なものだった印象を受ける。
歯がゆいところがあるが、情報サービス業界の存在を若い経営者や学生によりよく知ってもらうことは重要だと思う。関西地区会でもIT系スタートアップ企業の会員は思うように増えていないし、ソフトウェア工学や情報通信を学ぶ学生のうち、何人がJISAのことを知っているのかと問われると厳しいものがある。
――今後の活動方針を。
まず、今年秋の関西地区会定例会では、ITスタートアップや若手の経営者、技術者の会員の方々に、新しい技術の発表や交流をしてもらう予定だ。先端技術に明るい講師の方をお招きするのもよいだろう。
情報サービス業界は慢性的に人手不足が続いており、社会全体のデジタル化に伴ってユーザー企業がITシステムを内製化する動きもあり、IT人材はこれからも奪い合いの状況が続くと見ている。JISAの活動を通じてより多くの人に情報サービス業界に参加してもらい、業界を盛り上げていきたい。
Company Information
1981年に大阪市で創業。2023年3月期の連結売上高は前期比7.8%増の70億円、営業利益は本社移転費用などがかさんだため8.9%減の4億5000万円の見込み。連結従業員数は約670人。