〈企業概要〉
フランスのThales(タレス)は、防衛、航空・宇宙、サイバーセキュリティーなどの事業を展開。セキュリティー事業ではデータセキュリティーを手掛ける。グローバルでの従業員数は8万1000人以上。
フランスThales(タレス)はデータセキュリティー製品を中核に据えて、セキュリティー事業の強化を進めている。2023年には、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)やデータセキュリティー製品を手掛ける米Imperva(インパーバ)を買収し、製品ポートフォリオを拡充。25年2月からは両社のパートナープログラムの連携を開始した。サイバーセキュリティー部門の日本法人、タレスDISジャパンの兼子晃・サイバーセキュリティ&デジタルアイデンティティサイバーセキュリティプロダクト事業本部本部長は、「データセキュリティー分野でタレスという名前を認知してもらい、日本に市場をつくっていく」と力を込める。
(取材・文/岩田晃久)
パートナープログラムを連携
タレスは、防衛、航空・宇宙、サイバーセキュリティーなどの事業を展開。それらの中でも、サイバーセキュリティーは近年の注力事業に位置付けられている。兼子本部長は「防衛においてもサイバー空間が重視されるようになっており、当社にはこれまで培ったノウハウがある。そのノウハウをセキュリティー事業で展開することで、ビジネスチャンスが生まれる」と話す。セキュリティーにはさまざまなカテゴリーがあるが、「防衛の観点からデータ主権を担保することが重要」(兼子本部長)との考えから、同社のサイバーセキュリティー事業の中核はデータセキュリティーの領域となっている。
兼子 晃 本部長
タレスのセキュリティー事業は買収を重ねて拡大してきた。19年にICリーダーやHSM(Hardware Security Module)を手掛けるオランダGemalto(ジェムアルト)を、22年にアイデンティティー・アクセス管理製品のオランダOneWelcome(ワンウェルカム)、23年にインパーバを買収。これらベンダーは全てデータセキュリティーに関連しているという。兼子本部長は「インパーバは国内ではWAFのイメージが強いが、欧米ではデータセキュリティービジネスの売り上げが4割程度を占めている」と語る。現在は、アイデンティティー管理、アプリケーション保護、データの暗号化まで、データセキュリティーに関する製品をトータルで提供できる体制を整えている。
24年12月には、タレスの「CipherTrust Data Security Platform」のデータセキュリティー機能とインパーバの「Data Security Fabric」を統合したソリューション「Data Risk Intelligence」を発表。オンプレミス、クラウドなど各環境に散在するデータのセキュリティー状況をスコアリングする機能などを提供する。
両社のパートナープログラムを連携させた「Accelerate Partner Network」では、パートナーが双方の製品を販売しやすいように、統一的な割引や特典を提供したり、トレーニングを充実させたりしたほか、パートナー同士のマッチングなどを行いパートナーを支援する。26年には、完全統合したパートナープログラムの開始を予定しているという。
インパーバとタレスのパートナー数を合わせるとグローバルで6700社以上となるが、重複しているパートナーは少ないという。そのため、既存のタレスのパートナーがインパーバの製品を販売するといったクロスセルにより、ビジネスチャンスが広がることを双方のパートナーに訴求する。
兼子本部長は「パートナーの理解を得られなければ日本市場でビジネスは展開できない。認知向上への取り組みや、トレーニングの提供などをしっかりとやっていく必要がある」と強調する。新規のパートナーの開拓については、データセキュリティーに高い関心を持つ企業に加えて、「日本のお客様はサポートを重視するので、充実したサポートを提供できるパートナーとの協業を進めていきたい」と展望する。
欧米の規制への対応を支援
国内では、政府機関や金融、自動車といった分野で製品が利用されている。今後は、GDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとした、日本より厳しい欧米のデータ保護規則への対応を目指す企業への提案を進めていくとする。また、DXの推進に向けて、データ活用を本格化させている企業に対して、データセキュリティーの重要性を訴えていく。
タレスには、グローバルで600人以上のAIのエキスパートが在籍しているという。兼子本部長は「金融なら金融特有のデータがあり、それをどう守っていくのかといったように、業界や業種によってAIの使い方も違うと思っている。お客様の業務を理解して、AIの活用方法を提案していく」と述べる。
国内のデータセキュリティー市場について兼子本部長は「グローバルに比べると遅れている面がある」と指摘する。オンプレミス、クラウド、ハイブリッドなど環境を問わずにデータ保護できる強みをアピールし、国内のデータセキュリティー市場の拡大を目指す。