〈企業情報〉
米Confluent(コンフルエント)は2014年に創業。「Apache Kafka」を基盤とした商用製品やマネージドサービスなどを提供しており、小売りや金融、医療、製造業などさまざまな業種で導入されている。日本法人であるConfluent Japanは21年に設立された。
データとビジネススピードの加速は切っても切れない関係にある。データドリブンな意思決定を実現するには、データを基に顧客のニーズや事業の状況を把握する必要があるが、企業が扱うデータの量は年々増加している。この課題に対応すべく、Confluent Japanは膨大なデータをリアルタイムに処理できるデータストリーミングプラットフォームを提供している。システムインテグレーションなどに関するパートナーとの関係構築に取り組み、国内でのビジネスの伸長を狙う。
(大向琴音)
エンタープライズレベルの要求に応える
米Confluent(コンフルエント)は、オープンソースソフトウェア「Apache Kafka」の開発者チームが2014年に創業した企業で、21年に日本法人のConfluent Japanが設立された。同社では、Kafkaを基盤とした商用製品として、データをリアルタイムに収集・配信するデータストリーミングプラットフォームを提供している。
Confluent Japan
石井晃一
カントリーマネージャー
バッチ処理によるデータの取り扱いとは異なり、データを転送中に処理できるため、データをいったんデータベースなどに書き込み、静的なデータにしてから処理するといった必要がないのが特徴。オープンソース版のKafkaのみでもデータのリアルタイムの収集や配信を行うことはできるが、コンフルエントのデータストリーミングプラットフォームは、データストリーミングの機能だけではなく、外部のシステムとの間でデータをやりとりするための機能を備えていたり、エンタープライズレベルのサポートを提供していたりと、よりエンタープライズ向けの要求に応えられる仕様になっている。
Confluent Japanの石井晃一・カントリーマネージャーは「生まれたデータを転送しながら処理する技術において、いくつか手法はあると言われているが、(当社は)データをリアルタイムに転送するだけでなく、正確に、堅牢に、正しい順番で届けられる点に強みがある」という。顧客の業種、業態は基本的に問わないが、例えば、ビデオストリーミングサービスや、タクシーの配車システム、クレジットカードの審査など、即時の判断が求められる事業で活用されている。
近頃、日本の顧客からは、セキュリティー用途への活用の相談が増えてきている。システムログを適切に処理し、セキュリティーツールに渡すことで、異常の検知にかかる時間を短縮することもできるといったメリットがある。
導入形態としては、「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」「Google Cloud」などのパブリッククラウドで利用できるフルマネージドサービスの「Confluent Cloud」と、ユーザーが自社で管理する基盤に導入するソフトウェア製品の「Confluent Platform」を用意している。また、24年からは、Confluent Cloudの顧客向けに、コントロールプレーンをクラウドサービスとして提供し、企業が保有する情報が流れるデータプレーンに関しては顧客が管理する「Bring Your Own Cloud」サービスを追加し、提供形態の拡充を図った。
一連のテクノロジーをプラットフォームとして訴求
同社が今後数年の成長戦略としているのが、「プラットフォームビジネスのけん引」だ。データストリーミング機能だけではなく、送られてきたデータを分析、処理するためのデータ処理エンジンである「Apache Flink」や、データの“商品化”を支えるガバナンスの技術など、一連のテクノロジーをプラットフォームとして訴求していくという。そのために「正しい情報を企業に伝えて導入の検討を促進し、パートナーと関係を構築し、強固なサポート体制をつくる。この三つを軸に活動する」と石井カントリーマネージャーは説明する。
パートナーは、米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)・米Microsoft(マイクロソフト)・米Google(グーグル)のCSP(クラウドサービスプロバイダー)パートナー、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)などのテクノロジーアライアンスパートナー、システムインテグレーション(SI)やコンサルティングを行うパートナーの3形態がある。特に現在は、SIおよびシステムアウトソーシング(SO)のパートナーエコシステム構築に力を入れている。
パートナープログラムも用意している。販売活動に関するイネーブルメントなど、豊富なコンテンツを提供しており、日本でも10社程度の企業がパートナープログラムに参画している状況だ。石井カントリーマネージャーはパートナー網の拡大について「一気に増やすというよりは、当社と同じ方向を見ていただけるSI、SOパートナーとの関係を構築中」とコメントした。