地元企業の課題解決に寄り添った体制で堅調に業績を伸ばしているのが宮崎市のスパークジャパンだ。ITインフラからシステム開発、Webマーケティングまで幅広く対応し、DXの相談にも伴走支援で対応している。岡田憲明社長は、業界団体を通じた交流や人材育成によって、自社だけでなく地元のIT業界全体の盛り上げを目指している。
(取材・文/堀 茜)
「1から10まで」サポート
――事業内容の紹介を。
ネットワークなどITインフラの構築、システム開発、Webサイトの制作などを手掛けている。売り上げの9割は宮崎県内が占める。地元企業は規模が小さい会社が多く、情報システム部門を持っていないところがほとんどで、IT関連の困りごとを「1から10まで」サポートしている。スクラッチでつくり込むシステムもあれば、さまざまなソリューションを代理店として取り扱っており、ローコードツールを使って業務システムを提供する案件も多い。
IT投資に前向きな企業が増えている印象で、当社の業績も上昇傾向にある。顧客の9割は民間だが、業種・業界は絞らず、幅広い顧客に対応している。常にお客様の課題に直接向き合って、その解決をサポートしているので、ノウハウがナレッジとして蓄積している。顧客によって事業規模や予算も異なるが、何が最適かを判断し、より良い提案ができるのが強みの一つになっている。
顧客と共に考える
――県内企業のDXへの意識は。
相談はたくさんいただいている。人口減少が進む中で、地方はどの業界も人手不足が深刻だ。人が減っていく中でも事業が成り立ち、発展していく仕組みが必要だとの意識は強まっている。地元企業の多くは、今やらなければ5年後10年後に成長できないという危機感がある。特に業務効率化やセキュリティーへの取り組みは意欲が高い。
岡田憲明 代表取締役社長
一方で、何から手を付けていいか分からないという声も多い。当社はまず顧客の業務を洗い出し、あるべき姿を一緒に描くというスタンスを取っている。その中でボトルネックになっているものに優先順位を付け、ITで解決できる部分をお手伝いしている。
重要なのはシステムを入れることそのものよりも、それを運用する人を育てることだ。そのための伴走支援に力を入れている。ツールを入れたら解決するということはほとんどなく、実際に使う人たちの考え方をブラッシュアップし、知識を付けてもらうことは欠かせない。数年単位で当社がサポートした上で、顧客企業の中で運用ができるようなかたちを勧めている。その結果、顧客のビジネスが成長すれば、当社の事業も伸びていくと考えている。
――独自開発したソフトウェア製品はあるか。
ビジネスと絆を掛け合わせた造語「BiZUNA(ビズナ)」というブランドをつくっている。人員や生産性を管理するソフトウェアを社内活用しており、今後、外販していきたい。人と人とのコミュニケーションの課題を解決すれば、ビジネスは発展していくと考えており、ビジネスにおいて顧客との絆を強めていくことを目指したサービスにしていきたい。
人材育成にも注力
――地域貢献にはどんな取り組みをしているか。
IT企業約50社が加盟している宮崎市ICT企業連絡協議会で会長を務めている。各企業の悩みである人材の確保や育成を目指した交流が目的だ。自社だけでなく同業他社と横のつながりを持つことで視野を広げたいという企業が参加している。一般企業向けには、AIを業務に生かす方法の勉強会なども実施し、啓発活動を行っている。また協議会としてICT教育も重視しており、子ども向けのプログラミング教室を開催して、早期のIT人材育成にも取り組んでいる。
IT業界を盛り上げていくことで、アジアのシリコンバレーを宮崎につくりたいと思い描いている。当社だけでは難しいが、いろいろな会社と協力し、それぞれ成長することで目指していきたい。
――今後の展望を。
顧客に寄り添った課題解決のためには、多様な方法を提案できることが重要になる、会社の成長を考えたとき、自社の独自サービスを増やしていきたい。そのためには開発などを支える人材が欠かせず、社員の育成に力を入れたい。当社はIT未経験者も採用しており、社内でエンジニアを育成する教育プログラムを持っている。
私自身がいろいろな国の人と働くことで違う角度から見えるものがあるとの思いを持っており、米国、中国、バングラデシュの人材も採用し、働く人の多様性も重視している。私は宮崎生まれ宮崎育ちで、地元のために何ができるかを考えている。当社でスキルを身に付けて活躍した上で、地元のために貢献してくれる人材を育てていく。
Company Information
1997年創業。本社は宮崎市。東京にも出先を構える。ITインフラ構築、システム開発のほか、Webサイト制作やマーケティング支援などの事業を展開。従業員数は84人(2025年3月現在)。