京都に本社を置く独立系SIerのKYOSOは長年大手製造業を支援してきたノウハウを生かした中堅・中小企業向けのビジネスの拡大を目指している。岡田恭子社長は「顧客のIT戦略と現場業務の架け橋になる」と意気込む。
(取材・文/大畑直悠)
製造業の業務知識が強み
――事業の紹介を。
1973年の創業以来、同じ地元のオムロンといった製造業を中心に基幹系のシステムの導入や運用、保守を展開している。主な顧客は関西や名古屋の企業だ。10年ほど前まではスクラッチ開発もあったが、近年では独SAP(エスエーピー)や米Salesforce(セールスフォース)の製品を、顧客の業務環境に合致させる案件がほとんどだ。
大手製造業に関しては、バックオフィスのDXの大部分はすでに終わっており、いかに事業部や工場といった枝葉にDXを波及させるかが関心事だ。複数のシステムが稼働していたり、古いシステムが稼働していたりするため、RPAによる自動化のニーズが強い。プラント系の工場では人が立ち入ると危険な場所があり、センサーなどIoT機器を用いたデータの取得を推進している。
――製造業務向けのDX支援における優位性は。
製造業のシステム運用を50年間担ってきた中で、業務に対する知識の蓄積がある。これがRPAなどの活用を支える上での優位性だ。業務の手順を見直すなど交通整理をしながら、導入効果が出るまで伴走する点が評価されている。
中堅・中小支援で地元貢献
――今後の成長戦略は。
中堅・中小企業向けの事業に注力している。特にコロナ禍以降は取引が増加しており、地銀とのパートナーシップで顧客を紹介してもらいつつ、成功事例を積み重ねている。当社が顧客のIT推進室の代わりとなって経営戦略や事業戦略に沿った伴走支援を展開している。
岡田恭子 代表取締役社長
当社は京都に立地しているものの、大手製造業を除いた地場の企業と積極的に関わってきたとは言えない。ただ、DXの機運が高まり、中堅・中小企業に対しても、これまで培ってきたノウハウを生かせるフェーズに入った。持続的な成長を支える存在になり、地元に貢献したい。
DXの取り組みが早いのは経営者が決断した企業だ。特に2代目、3代目の経営者は人手不足などで将来的に事業が回らなくなるという危機意識から、明確にIT投資を経営戦略に盛り込んでいる。
一方、現場では日々の業務を回せており、DXの要望がそこまで強くない場合もある。経営層のIT戦略と現場の業務がかけ離れていると、ツールを導入しても結局は使われなくなってしまう。当社の役割は、顧客の業務に合うかたちでITを導入するための橋渡し役となることだ。
――DXを推進するには、顧客側にもITに長けた人材が求められる。ただ、全国的にIT人材不足が指摘されている中では難しさがあるのではないか。
当社も人材の獲得は苦労しており、案件を通じていかに育成するかが重要だと考えている。それは顧客に対しても同様だ。「一緒に育っていきましょう」というスタンスで、顧客が自走できる状態を目指している。われわれの役割は税理士や弁護士のようなもの。決算の時など月に一度必要に応じて指導して、日常の中では自力でIT戦略を回せるように後押ししたい。
セールスエンジニアを増やす
――中堅・中小企業向け以外の今後の事業戦略は。
既存の製造業向けの事業を拡大する。RPAといった商材に加え、米ServiceNow(サービスナウ)製品を2年ほど前から本格的に提供している。先述した通り、製造業では複数のシステムの乱立が足かせとなり、ビジネスの速度が上がらないという課題が顕著だ。業務プロセスの整流化を目的にサービスナウ製品を検討する顧客はこの1年で増加している。
当社のサービスナウビジネスの強みは、上流からアプローチができる点だ。顧客が求めているのは「サービスナウの技術者がこれだけいますという話ではなく、サービスナウ製品でこんなことができます」という提案で、課題の発見から伴走できる体制を整えている。
SIer向けのビジネスも展開しており、エスエーピーやサービスナウ製品で協業している。サービスナウに関しては、コンサルティングにも対応できる人材が、要件定義から実装、運用まで幅広く連携し、複数機能の活用などをバックアップしている。
――今後の組織マネジメントの方向性は。
いわゆるセールスエンジニア的な人材を拡充する。技術的な知見を持ったエンジニアが顧客の課題を発見し、解決の糸口を提案できるようにしたい。ITを活用する恩恵を顧客が実感できるような翻訳者としての役割を強化する。
もう一つは、当社が持つノウハウの中から新しい可能性を追求できる人材を育成したい。2年後、3年後に何をするべきかは予測できない部分もある。会社としての底力を上げ変化に対応できるようにしたい。
Company Information
1973年に京装コンピューターとして創業。IT経営支援サービスやシステム開発、パッケージを用いた開発・導入などを手がける。グループ会社も含む2024年11月期の売上高は55億円。