金沢市のコスモサミットは、地場産業を盛り上げるソフトウェア製品で独自性を発揮している。北陸地方に企業が多い繊維業に加え、自動車部品などに欠かせない鋳造業にフォーカス。製造業の中でも自社が強みを持つ特定の分野向けのパッケージ製品を全国に展開している。
(取材・文/堀 茜)
個別開発からパッケージへ
――どんな事業を展開しているか。
システム開発が事業の中心で、大手IT企業向けのエンジニア派遣、ネットワークを含めた情報システムの企画、設計、構築、運用までの総合的な支援も行っている。創業当時は県内の地場産業の企業向けにSI事業を行い、顧客個別ごとのシステム開発が中心だったが、近年は製造業など特定の業界向けのパッケージソフトウェア開発に注力している。
業界特化型のソフトウェアのパッケージ製品は、全国で販売している。全社売り上げのうち、エリア別では本社のある石川県を中心とした北陸が4割、それ以外が6割ほどだ。
――ビジネスの景況感は。
多くの経営者のマインドは、IT投資に前向きになっている。当社の顧客に多い製造業では、労働人口が減少する中、ITを活用して工場運営をしていきたいという声は多くある。経験と勘に基づくのではなく、定量的なデータなど根拠のある経営判断が必要だという考えが浸透し、当社のビジネスにも追い風になっている。製造業向けの展示会にも出展しているが、商談の数は増加傾向だ。
特定業界の深い知見が武器
――自社製品の強みは。
石川県を中心とした北陸地方の地場産業として繊維製造業があり、多くの個別開発を手掛けてきた実績がある。一口に繊維業と言っても、撚糸や染色、織布など多くの業態があり、それぞれに適した業務システムや生産管理システムを提供する「Texasシリーズ」は、200社以上で導入されている。
坂井健一 執行役員
もう一つ注力しているのが、鋳造業向けだ。いわゆる鋳物だが、自動車部品工場などで多く製造されている。「ReMacs TypeC」は、造型や溶解などの計画機能が標準搭載で、属人化防止や人材不足解消などに役立つと評価されている。製造過程でボトルネックになるような工程で、いかに効率よく生産計画を組んで現場に指示を出していくかという機能は、いわゆる一般製造業で汎用的に使えるシステムより充実している。製造現場は工場によって工程が異なるので、パッケージ製品ではあるが個社ごとに当社のエンジニアが微調整する構築が前提になる。現場ごとの対応力も強みの一つだ。
顧客企業の課題解決には、まずその業務を深く知ることが必要だ。当社がフォーカスしている業界は、いずれも一般製造業向けのシステムを販売する大手IT企業ではカバーしきれない領域で、特定業界に精通している当社だからこそ提供できる機能面が特長になっている。競合が少ないところに向けて提供できる付加価値を差別化要素としている。
――販売はどのように行っているか。
直販も行うが、販売代理店経由が伸びている。約10社と販売代理店契約を締結しており、多いのは、パートナーの大手SIerがシステムの相談を受け、それが繊維業や鋳造業の顧客だと、それなら当社の製品をと紹介していただくケースだ。特に鋳造業向けソリューションは、名古屋と大阪で大きく業績が伸びている。
企業の経営課題は複雑化しており、当社のソリューションだけでは不十分なケースがある。他社の製品と組み合わせて解決できることも多い。それぞれの得意分野を掛け合わせることで顧客の課題解決につなげるという体制を取っている。
地場産業の発展を支援
――人材確保で工夫していることは。
IT企業のエンジニアというと、製品開発だけを行っているというイメージがあるかもしれないが、重要なのは、開発したシステムをいかに顧客の課題解決につなげるかという点だ。困りごとを引き出し、解決の手段を提案し、実際に使えるようにしていくプロセスにおいて、多様な業務が存在する。たくさんのキャリアパスを用意することで、多くの人に当社に関心を持ってもらえるようにしている。最新テクノロジーであるAIを活用したソリューションの検討も若手社員を中心に行っており、人材の獲得だけでなく定着にもつなげたい。
――今後の展望を。
長年、製造業向けにITサービスを展開してきたので、当社の役割として製造業、地場産業を元気にしていきたいとの思いがある。2024年には、当社製品のユーザー企業に集まって意見交換してもらうユーザー会を開催した。同じ製造業でも業務が違う会社同士が交流する中で生まれる視点もあり、課題の掘り起こしにもつながっていると感じた。製造業の事業継続をいかに支援できるか、ユーザー目線での支援を強化していく。
Company Information
1981年、北陸サミットとして創業し、86年に現在の社名に。本社は金沢市。東京、大阪、名古屋にも拠点を持つ。システム開発、製造業などの業界特化型パッケージ開発などを手掛ける。従業員数は関連会社も合わせて199人(2025年4月現在)。