岡山市に本社を置くオーユーシステムは、中国・四国を中心に基幹システムの導入を手掛けており、運送業や食品製造業向けには独自開発製品の全国展開を進めている。南石拓哉社長は「顧客の課題をワンストップで解決する」と掲げ、きめ細かい顧客サポートを強みにビジネスを拡大している。
(取材・文/大畑直悠)
柔軟なカスタマイズに対応
――展開する事業の紹介を。
食品製造業や建設業など向けの基幹システムを中国・四国地方を中心に提供している。ほかにもオフィス機器の販売やセキュリティマネージメントサービス、ホームページの作成など幅広い事業を展開している。また、自社開発製品である運送業向けの基幹システム「車楽クラウド」や食品業向けの品質管理システム「食Quality」、品質検査支援システム「食INSPECTOR」も提供している。
自社開発製品に関してはパートナーと連携しながら、全国展開を推進しており、顧客数は拡大している。車楽クラウドは中四国地域ではトップクラスのシェアを持っており、全国では430社ほどの導入実績がある。最近ではホームページや導入事例を充実させたこともあってWeb経由での問い合わせが増えている。今後もここは伸ばしていきたい。
食Quality、食INSPECTORに関しては基幹システムと合わせて導入することが多く、販売管理と生産管理、品質管理という食品製造業の重要な業務を全て網羅できる。
――自社開発製品の強みは。
車楽クラウドに関しては柔軟にカスタマイズできる点が強みだ。当社が用意したSaaS環境でサービスとして提供することもできるが、顧客自身が独自に「Amazon Web Service(AWS)」上に構築したクローズドなインフラ環境でも提供できるようにしており、顧客のニーズに応じた提供形態を用意している。
食Quality、食INSPECTORについては、生産や販売管理と比較してまだまだブルーオーシャンの市場だ。車楽クラウドと同様のカスタマイズ性とコストの安さで優位性を築けている。
AIを自社商材に実装へ
――ビジネスの近況を聞く。
右肩上がりに成長できている。DXを推進したいという思いはあるが、かつてスクラッチでつくったようなレガシーシステムが足かせとなっている企業はまだまだある。基幹システムをリプレースして、その先の業務効率化につなげていきたいという企業は多く、当社はこれに伴走している。
南石拓哉 代表取締役社長
一方で、トップ層のDXを進めたいとの思いと、現場とのギャップが製品導入のハードルになっている顧客は多い。DX推進室のような組織が設置され始めているとはいえ、経営層が現状の業務の運用を細かく理解できていないケースは多く、DXでかえって業務が混乱する可能性もある。当社としては、顧客の経営層と現場をつなぐ存在となって、現場がしっかりとDXの効果を享受できるように支援している。
顧客の課題は人手不足や、ベテラン社員の退職だ。特に受注の担当者が欠けてしまうと業務が止まってしまう。この部分のDXを進め、業務を標準化したいとのニーズは大きい。既存の業務プロセスをそのまま温存してシステムだけ入れ替えても課題の解決にはならないため、顧客の業務内容を整理して、変革まで導く提案に力を入れている。
――AI活用に注目が集まっている。
導入事例としてはまだこれからだが、業務にAIを利用したいと悩んでいる顧客は多く、提案してほしいとの要望も増えてきた。今後は基幹システムとAI技術を搭載したBIツールを連携させてデータ活用の推進に取り組み、ベテランと新人のスキルの差を埋められるように支援する。また、品質保証などで製品開発の支援を担う食Qualityでは、過去の開発実績をもとに新製品を提案するようなAIの実装を目指している。
リーダーが育つ企業に
――人材の確保はどのように進めているか。
IT人材の採用は年々、難しくなっている。特に専門的な知見を持つ新卒を採用するのはハードルが高い。しっかりと教育して若手を早期に戦力化して管理職に就いてもらい、長く力を発揮してもらうことに力を入れている。
当社自身でもDXを進め、生産性を高めることが重要だ。サブスクによるビジネスも増えてきた中で、請求書や納品書を作成するだけではかつてのように業務は回せなくなっている。しっかりとシステム化して間違いが起こらない体制の構築を進めている。
近年では事業の多角化を目指し、「ベトコンラーメン倉敷新京」などの飲食店を経営する子会社の設立や、人材派遣企業を子会社化したことで、地元での認知度向上につながっている部分もあり、採用活動にも寄与している。
――事業の多角化の狙いは。
どこかがだめになっても、別の会社が助けられるような経営の安定を目指すためだ。ファミリーとして互いに支え合うような関係性を目指したい。
飲食の子会社代表には当社のSI事業出身の若手の人材を登用しており、「立場が人を変える」ではないが、劇的に成長してくれている。当社のグループから若手の強力なリーダーが何人も育つようしたい。そうすればさらに次の世代が憧れ、モチベーションの向上にもつながるだろう。
Company Information
1983年に設立。2025年7月期の売上高の単体実績は19億687万円。基幹システムの導入やソフトウェア開発・販売などの事業を手掛ける。21年に飲食業を展開する子会社OU Foodsを設立。25年に人材派遣事業を展開するプログレスを子会社化した。