AI技術の普及により、サーバーなどITインフラ製品の需要がますます高まっている。この潮流の中、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(LES)は「One Lenovo」の体制の下、プログラムの改良や、パートナーとの合意形成の取り組みなどを通じて、レノボ製品をより取り扱ってもらいやすくするための施策に注力している。パートナーと共同でのソリューション開発や販売も推進する。(大向琴音)
プログラムをよりシンプルに
レノボ・グループは近年、One Lenovoの体制を推進している。2022年には、パートナープログラム「Lenovo 360」の下、LESとレノボ・ジャパンのパートナー販売部門が統合し、PCなどのデバイスからサーバー、データセンター向け製品まで一貫して取り扱えるようになった。パートナーがレノボ製品を適切に販売しやすいよう引き続き取り組みを進めており、2026年度には、よりシンプルなプログラムをローンチ予定とする。
越場康介・事業部長
ラインアップの広さ生かし、多様な用途に対応
AI需要が高まる中、独自の水冷技術「Neptune」を搭載したGPUサーバーの拡販を目指す。現状では、アカデミックな領域や、大企業における膨大な計算、AIサービスを提供するプロバイダーなど、ユースケースは限定的だ。引き続きこれらの用途に最適なソリューションとしてNeptuneを訴求し、利用拡大を目指す。
主力のタワー型サーバーやラックマウントサーバー、高密度型サーバー、エッジサーバーなどの販売の強化にも引き続き注力する。
ITインフラをas a Serviceモデルで提供する製品として「TruScale」を用意する。製造業や金融機関などの大規模ユーザーをはじめ、さまざまな企業で採用が進んでいるという。消費電力に基づいた課金モデルで、初期投資を抑えつつインフラを所有せずに利用できるため、大企業だけでなく、中小企業にも適したモデルになっている。製品の幅広さを生かし、多様な用途やアプリケーション、ワークロードに対応する。
ビジネスプランに対する双方向の合意形成を重視
パートナーとのビジネスプランに関する合意形成を重視した取り組みを強化している。パートナー事業本部の越場康介・事業部長は、「合意形成の上では、設定したテーマに基づき、活動状況や実績を定期的に管理していく取り組みが重要」と説明する。こうしたプロセス自体は以前から行われていたものの、25年からは取り組みをシステムに落とし込んで可視化できるようにした。
これまでは、レノボ側が資料を作成してパートナーに提示する形式だったが、現在はより双方向の合意に基づくかたちへと進化させている。具体的には、レノボがビジネスプランを提出した後、パートナー側でレビューと承認を行う。承認されたプランは再びレノボに戻り、確定される。この仕組みは対象パートナーを広げながら展開しているが、営業負荷も考慮し、質を重視した運用が行われているという。
共同でソリューション展開を加速
パートナーと共同でソリューションの開発に注力している。企業におけるAI活用ニーズが高まっているが、「ハードウェアインフラの提供というアプローチでは、AIを最適に動かすためのリソースは提供できても、その上で何を動かすか、どんな成果を出すかといったソリューション領域までは踏み込めない」(越場事業部長)。この課題に対応するために、AIの技術を持つ企業と協力し、共同でのAIソリューション開発を開始している。
26年度には、ソリューションの共同開発だけでなく、共同販売も強化したいとする。現時点では、パートナーが主に販売している状況だが、レノボ側で案件リードを獲得し、ソリューションをエンドユーザーに紹介するといったかたちも想定する。レノボ側の顧客基盤とも組み合わせながら、パートナーの販売ルート拡大を目指す。
販売パートナーの拡充については、東京中心となっているSIerのエリア拡大を目指す。同社はここ数年、エリアパートナーの拡充に力を入れてきた。各地域でセミナーを開催し、参加したパートナーと直接コミュニケーションしたり、レノボ製品に実際に触れたりする機会を設けている。今後は、東京に次ぐマーケットとして、大阪を中心に強化する。