2025年7月にNTTコミュニケーションズは、NTTドコモビジネスに社名を変更した。NTTドコモグループにおける法人事業の中核会社として、大企業から中堅・中小企業まで幅広い顧客の獲得を目指している。戦略の一つとして重視するパートナービジネスでは、ネットワーク、ボイス、IoTの3領域を軸とした新たなパートナープログラムの提供を通じて、多様なパートナーと共に市場開拓に注力する。(大向琴音)
直販と並ぶ柱へ
NTTドコモビジネスは、NTTコミュニケーションズ(当時)の法人営業部隊に、NTTドコモの法人営業部隊とNTTコムウェア(現NTTドコモソリューションズ)の法人営業部隊の一部が加わるかたちで組織された。組織拡大したことで、従来からの強みである大規模顧客向けのビジネスに加えて、中堅・中小企業への訴求を目指す方針を示している。
一方で、全国の大企業から中小企業まで幅広くサービスをデリバリーするのは、直販のみでは難しい。そこで、不可欠となるのがパートナービジネスの強化だ。パートナービジネスに注力し、これまでの直販に並ぶ「もう一本の柱にしていく」と、執行役員でビジネスソリューション本部の尾川孝英・第五ビジネスソリューション部長は力を込める。
尾川孝英 部長
ネットワーク、ボイス、IoTの3領域に注力
パートナービジネス強化に向け、6月から新たに「ドコモビジネスパートナープログラム」を開始した。10月にはパートナー企業向けのポータルサイトも開設。Webを通じた申込も可能となった。
ドコモビジネスパートナープログラムは、「パートナーとのビジネスモデル創出、協業を推進するためのプログラム」と位置づけられおり、パートナーの区分として「セールスパートナー」「ソリューションパートナー」「テクニカルパートナー」を設けている。
セールスパートナーは同社の商材を仕入れて販売するパートナーを、ソリューションパートナーは同社の商材をパートナーの商材に組み込むなどして展開するパートナーを指す。テクニカルパートナーについては現状正式に追加されていないが、NTTドコモビジネスユーザーの構築・運用・保守を担う役割として、将来的に拡張が予定されている。
プログラムで取り扱う商材は、同社が注力しているNaaS(Network as a Service)の「docomo business RINK」などのネットワークソリューション、「Arcstar IP Voice」などのボイスソリューション、「docomo business SIGN」などのIoTソリューションの3領域。
パートナーが販売や提案をしやすくするための支援メニューについては、例えばボイスソリューションでは「接続検証環境の提供」「標準化した提案資料の提供」「販売事例やユースケースの共有」「パートナー向け価格の提供」などを用意する。このようなメニューは、ネットワークやIoTソリューションでも展開している。
100以上の加入を目標に
26年3月までに100社以上のパートナー加入を目標に、プログラムのアップデートは継続的に行う。拡充の方向性としては、現状のネットワーク・ボイス・IoTに関するソリューション追加のほか、これら3領域以外の展開も見据える。尾川執行役員は、「引き続き当社事業の成長分野に資するようなサービス開発を行い、パートナープログラムの中に追加していきたい」と説明する。
パートナープログラムは、単なる制度として提供するだけでなく、企業戦略と一貫性を持ってパートナーに届けることを重視している。尾川執行役員は「会社の大きな方向性と、パートナーにお届けするプログラムやメッセージが完全に一貫性を持って伝わるようにしたい。新しいサービス開発や取り組みを進めているところなので、パートナーへの理解を促し、最終的にはエンドユーザーまで含めた課題解決につなげる」と展望する。
引き続き、さまざまな特色を持つ幅広いパートナーとのパートナーシップ構築を目指す。全国へのデリバリーを考えたとき、きめ細やかなサポート力や顧客との強固な信頼関係を持つ地域のSIerやICT事業者の存在は欠かせない。また、ネットワークやクラウドなど、特定分野に強みを持つ企業との連携も重要だ。多様なパートナーの参加が、新しいパートナーシップの広がりにつながると期待する。