英Sophos(ソフォス)は2月、米Secureworks(セキュアワークス)の買収を完了した。製品ポートフォリオの拡大によって、これまで以上にさまざまなセキュリティーニーズに応えられる体制となった。8月には新たなパートナープログラムを開始し、パートナーは両社の製品を販売できるようになった。ソフォス日本法人の足立達矢社長は「当社は業種、規模問わず全てのユーザーに世界最高レベルのセキュリティーを提供するという目標を掲げており、セキュアワークスが加わったことで、それが実現できる体制になった」と自信を見せる。(岩田晃久)
XDR「Taegis」の販売が可能に
ソフォスは次世代ファイアウォール(FW)やエンドポイントセキュリティー、メール、XDR(Extended Detection and Response)、MDR(Managed Detection and Response)サービスなど幅広い製品を展開している。近年は、パートナーがエンドポイントセキュリティー製品「Sophos Intercept X」や「Sophos XDR」、MDRサービスを積極的に販売し、導入が拡大しているという。
買収したセキュアワークスは、マネージドセキュリティーサービス(MSS)やセキュリティー診断サービス、コンサルティングなどを展開、近年はXDRプラットフォーム「Taegis(テイジス)」の販売に注力してきた。Taegisはエンタープライズ向けのXDR製品で、さまざまな他社セキュリティー製品と連携し、ログを収集、高レベルのXDR環境を構築できる製品として認知されている。足立社長は「セキュアワークスが加わり、新しいパートナープログラムになった中で、パートナーがTaegisを取り扱い、エンタープライズ領域で求められるセキュリティー対策を提案できるようになったのは大きいことだ」と語る。ソフォスでも、Sophos XDRを提供しているが、今後はより高機能なTaegisへの切り替えを進めていく予定だ。
セキュアワークスの各種セキュリティーサービスについては、パートナーが販売しやすいように、プロダクト化を進めているとする。
製品ポートフォリオが拡大したことで、足立社長は「当社のパートナーは、アップセル・クロスセルができるようになる。セキュアワークスのパートナーだった企業においてもFWやエンドポイントセキュリティーなどを提案できるようになった」と説明する。既にソフォスのパートナーからTaegisの案件が、セキュアワークスのパートナーからはFWやエンドポイントセキュリティーの案件が出てくるなど、協業が加速しているという。
足立達矢 社長
パートナーと共にエンタープライズの開拓へ
ソフォスは全国を網羅するパートナーネットワークを構築しているが、ここにエンタープライズ領域に強いセキュアワークスのパートナーが加わったことで、これまで以上に販路が広がった。足立社長は「セキュアワークスのパートナーに対して、ソフォスと一つになったことで生まれるメリットを、しっかりと伝えていくのが重要だと考えている」と語る。また、Taegisを起点にエンタープライズ領域に強みを持つ新規パートナーの拡充にも取り組んでいく考えだ。
セキュリティー運用が複雑化する中で、監視運用サービスのニーズが拡大している。ソフォスは、グローバルで500人体制のアナリストによるSOCチームを形成し、MDRサービスを提供しており、パートナー経由での利用が増加傾向にある。一方のセキュアワークス日本法人は国内にSOCを構築し、日本人アナリストによるMSSを展開してきた。足立社長は「ソフォスではこれまでも日本語対応してきたが、そこに日本のユーザー向けにサービス提供してきたセキュアワークスのSOCが加わることで、よりきめ細かい対応が可能となる。日本のユーザーにとっては大きなメリットになるはずだ」と展望する。SOCの統合は今後進んでいく見通しだとする。
“チャネルファースト”戦略を推進
ソフォスはグローバルで“チャネルファースト”戦略を推進しており、国内においても昨年度は約420社のパートナーが製品を販売した実績を持つ。顧客は中堅・中小企業から従業員数5000人以下の企業がメイン層となる。顧客への提案の際は、パートナーだけでなく、ソフォスの社員が商談に同行することで、成約率を高めている。セキュアワークスの買収でパートナーが広がる中で、これまで培ってきたノウハウを生かした支援や、充実したトレーニングなどを通じてサポートを強化する。
今後の目標について足立社長は「パートナーと共に案件を開拓し、全てのユーザーに世界最高レベルのセキュリティーを届けていく」と意気込む。