▼地上波、いや「地上デジタル推進全国会議」という団体が発足した。地上デジタル放送を円滑にスタートさせ、普及させるための応援団体で、テレビ局、テレビ・パソコンなど関連メーカー、販売業界はもちろん、地方公共団体なども加わり、加盟企業・団体の総数は400を超えるという。今年末には始まるというのに、地上デジタル放送に対する世の関心はもうひとつ盛り上がりに欠けている。

▼サービス開始前なので、当然といえば当然だが、筆者も地上波の「波」がいつの間にか抜けて地上デジタル放送という呼称になっていることは知らなかった。新聞などでは地上波デジタル放送の表記の方が多いと思うが、この一事が象徴するようにPR不足であったことは確かだろう。そのPRの先頭に立つべきなのはテレビだと思うが、全国推進会議の発足を取り上げたニュース番組はどのくらいあったのだろうか。無視した局の方が多かったように感じる。

▼テレビ界には延期を主張する向きもあるといわれるが、今回の推進会議には全テレビ局が参加しているようだ。延期説を封じ込めるための推進会議という構図が浮かび上がるが、その作戦が成功することを祈ろう。経済波及効果200兆円、雇用誘発効果700万人という公表数字は余りにも過大すぎると思うが、テレビ業界、またパソコン業界にも極めて大きな波及効果をもたらすことだけは、はっきりしている。ユビキタスネットワーク社会の姿は、地上デジタル放送が握っている。