旅の蜃気楼

人生、それぞれの愛燦燦

2007/02/12 15:38

週刊BCN 2007年02月12日vol.1174掲載

【本郷発】「雨さんさんと…」で始まる新垣勉の『愛燦燦』を聴いた。何度も聴いた。柔らかいテノールに全身が包まれて、心が、太陽に日干しをした“ふとん”状態になった。「よし、寝よう。明日はきっといいことがあるぞ」。その夜はよく眠れた──と綴ると、文章の流れとしては、はなはだ雰囲気が出るのだが、家人が言うには、「3分で寝付く、カップヌードル・タイプ」だとか。それでも新垣勉の文章に目を通すぐらいの時間は目が覚めている。「現代はどんな世界でも競争社会。常にナンバーワンを目指して進んでいる人の心は疲弊している。そんな人たちに、あなただけの人生、オンリーワンの生き方があると呼びかける。するとスッと肩の力が抜ける人が多い」と。

▼『BCN AWARD2007』の表彰式を1月26日に開催した。ハード61部門25社、ソフト32部門13社のナンバーワンたち250人が会場に集まった。さすがの顔ぶれだ。1年間のドラマがある。昨年の表彰式では弥生の平松庚三前社長がライブドア新社長として事件の渦中にあり、息せき切って駆けつけ、「今回は弥生の社長として最後だから。明日、どうなるかわからないからね。直接、僕が栄光のトロフィーを受け取りたかったの…」。騒動で憔悴した顔に光る汗を拭きながら、慌しく帰っていった。今年は飼沼健社長が穏やかな表情で受賞した。堀江貴文さんはBCNに縁がある。2000年4月3日号の『FACE』欄にオン・ザ・エッジの社長で登場した。その後、昇龍となって、頂点を極め、弥生を買収する。05年12月26日発行のBCN1118号の最終面で、「私は、『弥生会計』で起業しました」のコピーで広告に登場。これを最後に一般紙の社会面の人となった。

▼会場に集まったナンバーワンのなかにエレコムの葉田順治社長、ソースネクストの松田憲幸社長の顔があった。お二人ともいつも元気な社長だが、今年はなおさらだ。昨年、株式公開を果たしたからだ。両社とも一度、公開を断念して、さらに踏ん張って達成した公開だけに、喜びはひとしおのはず。公開を果たした経営者の顔は輝いている。「愛燦燦と…、人はかわいいものですね」。人生って、すばらしいですね。(BCN社長・奥田喜久男)
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