「一定の規模まで大きくなったSIerは、総合化の道を進まなければ生き残れない」。インテックホールディングス（インテックHD）の中尾哲雄会長兼社長CEOは、今年4月にTISと経営統合することを決めた。

　インテックHDの連結での社員数は約5800人、連結売上高は今期見通しで1250億円。「この規模までくると特定分野に特化して成長するのは困難」と、金融や製造、流通、サービスのあらゆる業種に対応した総合SIerに生まれ変わる選択しかないと判断。相方のTISもこの考えと同じだった。

　「規模は安定の基盤。技術の進展が著しいIT業界だからこそ、先行投資や人材育成の資金・体力が求められる」。たとえば、1社で10億円の投資が限界だったとしても、2社合わせれば2倍の投資ができる。「さらにもう1社、同じくらいの規模のSIerが経営統合に加われば3倍の投資が可能になる」と、さらなる業界再編の必要性に言及する。

　課題は、統合相手といかに密な信頼関係を築けるか。「仲よくするのは簡単なことなのに、人間、利口そうにみえても抜けたところがある」。経営統合を先行させ、事業統合を先送りにしたのも、まずは信頼関係を築くのが先決だと考えたため。ここ数年は、両社すべてのメンバーが信頼し合える関係になるように全力を注ぐ。