北斗七星

北斗七星 2008年5月26日付 Vol.1236

2008/05/26 15:38

週刊BCN 2008年05月26日vol.1236掲載

▼家電業界にあって日本型の「垂直統合型ビジネスモデル」が、試練に直面している。部材から完成品まで一貫した生産体制による高品質の確保と総合力が、国産メーカーのお家芸だ。しかし、デジタル化による部材のコンポーネント化や製品ライフサイクルの短縮化が、その足下を揺るがし始めているのだ。

▼今年1─3月、北米ではサブプライムローン問題が薄型テレビ市場を直撃、大画面テレビの大幅な値崩れもあって、国産メーカーの苦戦が伝えられた。シェア1位はサムスンで、ソニーは新興メーカーのビジオに次いで3位、シャープは5位と、国産メーカーが市場占有率を落としている。

▼とくに国産勢が神経を尖らせているのが、ビジオの存在。コストコなどを中心に40インチクラスで500ドル前後という超低価格攻勢を仕掛けてシェアを伸ばしている。創業は2002年で従業員は100人強。大半がコールセンター要員で、自社工場をもたないファブレスメーカーだ。昨年度第2四半期にいきなり液晶テレビで北米市場トップシェアを獲得し、その後は上位3社に定着した感がある。

▼自前の生産設備に数千億円を投資する国産メーカーが大型投資長期回収型の収益モデルだとすれば、ビジオは極小投資短期回収型の典型だろう。昨年度の決算が示すように、製造業における日本の競争力強化は確実に実を結んでいる。しかし、まったく異質な事業モデルに対してどう対処をしていくのか。改めてその真価が問われている。
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