北斗七星

北斗七星 2009年9月7日付 Vol.1299

2009/09/16 15:38

週刊BCN 2009年09月07日vol.1299掲載

▼衆院選の当日、私は中国は大連にいた。ここには中国政府肝いりの民間経営施設「大連ソフトパーク」があり、日本の選挙の様子が伝えられていた。「民主党が政権を取ると何が変わりますか?」。口々にこう尋ねられて答えに窮した。日本国民の大多数が、自民党以外の単独一党が300を超える議席を獲得した例を知らない。中国の人たちの質問に、きちんと説明のできる日本人はあまりいないだろう。

▼大連では「日本は、中国を中心に、もっとアジアを重視してはどうか」との意見もよく聞いた。日本の輸出・輸入の最大の相手国は中国だ。ITに関連しても、ソフト開発の下流工程を担うのは中国である。家電量販店でIT機器を販売するメーカーにとって、中国は難攻不落の地だ。「電脳城」という中国版量販店に日本製品が少ないことに驚かされる。未開拓だからこそ、ビジネスチャンスがある。民主党には、そこに目を向けた施策を打ってほしい。

▼オバマ大統領は「グリーン・ニューディール」を掲げ、米国経済の復興を目指す。冒頭の中国人は「中国人にも環境重視の意識が芽生えつつある」と、オバマ大統領の施策に関心を示す。しかし、「環境面で隣国に迷惑をかけているが、単に太陽光発電などを売り込もうとしても成功しない」と忠告する。自活して発展できる「基盤技術」でなければ中国は見向きもしてくれない。共同研究・開発という形で中国市場に環境技術とそれに付随するIT技術を輸出して、日本経済立て直しの一助にしたい。
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