北斗七星

北斗七星 2010年1月4日付 Vol.1315

2010/01/07 15:38

週刊BCN 2010年01月04日vol.1315掲載

▼「学校週5日制」ではない時代の話。通学日だった半ドンの土曜日午後には、「学研のおばちゃん」と呼ばれる販売員がやってきた。同社発行の「学習」と「科学」という定期刊行の学習教材を販売するためだ。この頃の子どもたちは誰しもが「学習にするか科学にするか」と、購入を前提にしていたほど影響力のある教材だったが、2010年早々に休刊することとなった。

▼休刊は、「少子化」による子ども人口の減少や興味の向き先がゲームなど、紙媒体よりも「リアル感」のあるIT機器へと移ったことが大きい。同じように、一時代を築いた小学館の「小学六年生」も休刊。恐らく、子ども向けで今後生き残るのは、幼少期の子どもたち向けの絵本とマンガだけに限られるだろう。

▼大手出版社が発行する雑誌では、子どもに関するものであれば育児や受験対策用の内容か、女性を対象とするファッション雑誌しか、発行部数を伸ばせていないのが実状だ。紙媒体は、大手新聞社を含め、総じて“冬”の時代に突入している。

▼IT業界向け媒体も、IT市場の低迷に引きずられて大手新聞系列のIT雑誌をはじめ、このところ休刊が相次いでいる。週刊BCNの実状を明かすと、厳しいなかでも最終黒字を続けている。とはいえ、20年後には読者の半分が「キンドル」など電子ブックで本紙を閲覧していることだろう。紙の良さである「一覧性」が電子機器で実現できれば、本紙に限らず紙からの脱皮を考えなければならない。
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