BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『中国の兵法に学ぶ ビジネスフレームワーク』

2010/01/21 15:27

週刊BCN 2010年01月18日vol.1317掲載

 中国古典(兵法)といえば、例えば「三国志」で、魏呉蜀の統治者が戦でどういう戦略をとったかについてエピソードを交えながら解説するという類の本が一般的だ。だが、本書は趣を異にする。頁を開くと、いきなりフローチャートや図表が目に飛び込んできて、少し面食らう。本来のビジネス書として読むべきなのだろう。

 章立ては序章を含めて七つ。第1章・兵略(勝つための知恵)、第2章・兵術(勝つための具体策)、第3章・兵制(支援システム)、第4章・兵器(支援ツール)、第5章・兵家(手本となる人物)、第6章・兵誌(参考となる事例)。

 各章の細目には「ワークシート」が付されており、1項目を読むごとに読者自身が書き込むようになっている。例えば、第1章の兵略では、「戦略を組み立てるためのワークシート」が用意されており、第1段階=知己知彼(現状を知る)、第2段階=臨機応変(対策を練る)、第3段階=先計後戦(行動を起こす)と区分されていて、それぞれの空欄に自分の考えを書き込んでいく。記入例が用意されているので、それを参考にするといいだろう。

 第6章は、読み物に近い。『百将図伝』にみる「100人の名将」は、登場人物のエピソードが簡潔にまとめられており、興味深く読める。一例を挙げれば、呂尚(太公望)のハン渓坐釣(ハン渓で釣りをしながら、時を待つ)。他人に笑われながらも、時機の到来(文王との出会い)を釣りをしながらじっと待っていたそうだ。(止水)

『中国の兵法に学ぶ ビジネスフレームワーク』
福田晃市著著 ソフトバンククリエイティブ刊(1500円+税)
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