旅の蜃気楼

日本と中国、計67都市が市場となる

2010/05/27 15:38

週刊BCN 2010年05月24日vol.1334掲載

【北京発】今年から、中国に足繁く通い始めた。中国の国内にデジタル家電、IT分野の旬な話題があれば、どの都市にでも出かけていくと、私たちBCNは今年からそう決めた。手はじめに、3月1日付で、中国と韓国と台湾の出張規定を海外から国内規定に改めた。話題があれば、いつでもこの地域へ出かけていくためだ。

▼まずは上海に出かけた。北京にも、成都にも足を伸ばした。大連も訪れた。どの街も大きくて活気がある。中国に出張したBCNのスタッフは、聞くと見るとでは大違いの中国の現状を体感してくる。中国はものづくりの拠点であり、ものを消費する市場として巨大な存在だ。それは誰もが認めている。しかし、中国市場で事業を展開することの難しさを、多くの人が私に投げかけてくる。ある人は言う。「市場が大きいのは分かる。しかし手応えのあるビジネスモデルが描けない」。他の人は「買い物の列に平気で割り込んでくる、あの横暴さには辟易する」と渋い顔をする。そのほかにも、いろいろな声を聞く。

▼中国市場には現在、二つのB2B市場がある。中国の現地企業と、日本から進出した企業だ。日系企業はすでに2万3000社がある。これら日系の企業群に旺盛なITの市場が誕生している。中国のGDPの増加に比例して、さらに日系企業は増える。ITもデジタル家電の需要も増える。中国は、沿海地域から内陸の西に位置する四川省の都市・成都までが市場として見込める。この区間に、東京と同等もしくはいずれ東京並みになる街が20都市ある。日本には大小の差はあるが、県庁所在地47都市がある。東京から成都までの計67都市が、日系企業の東アジアでの販売対象市場だ。国内に3時間の時差があるアメリカ合衆国だが、アメリカ人は北米大陸を国内市場として当たり前に事業展開している。私たちも、東アジアをBCNの取材領域とした。すでに大手企業は進出している。これからは中堅企業と起業意識の高い個人の進出が続くとみられる。異文化での苦労は言語の習得と同じ苦労だ。10年後が楽しみだ。(BCN社長・奥田喜久男)

北京市の三里屯(日本でいえば、渋谷区の代官山のような地区)にあるアップルストアの前の広場にて
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