旅の蜃気楼

思わぬつまずきも旅の楽しみ

2011/06/16 15:38

週刊BCN 2011年06月13日vol.1386掲載

【ハノイ発】ベトナムはお金に関することが分かりにくいと、前号で書いた。貨幣の桁数が多すぎて、支払う段になると怖じ気ついてしまう。なにせ、40円が1万ドンなんですから。万札がどんどん財布から出て行くという錯覚にとらわれるのだ。タクシーに乗ると、メーターの数字の意味がよくわからないとも前号で書いた。その件について、高崎市にあるアサヒ商会の広瀬洋一会長からメールをいただいた。

 「私も先月ホーチミンに行ってきました。TAXIのメーターは0が4つ略されています。メーターの数字の脇に0,000とあります。6/6号にある“35”の表示ならば、35万ドンで1400円です。(35ドルも支払えば)運転手はホクホクだったと思います」。

 やっぱり、あれは倍のタクシー料金だったんだ。

▼思わぬところでつまずいたり、文化の違いを感じるからこそ、旅は楽しい。とても臭いトイレに出くわしたとしても、この『旅の蜃気楼』を書くネタを拾ったと思えば、トクをした気分になる。ハノイから広西チワン族自治区に抜けるインターナショナル・ボーダーに向かった。ランソンを通り抜けて、ボーダー専用のカートに乗り替える。降りたところが、ベトナム側の出国検問所だ。

▼中国に入るまでにどのくらいの時間がかかるか分からない。先にトイレに行って、すっきりしておこう。トイレはすぐに見つかった。狭い、臭い、汚い。そのうえに、なんと有料だ。呆れてしまう。両国の検問所を通過してベトナム側から中国に延びる道を歩いて行く。施設には国力の差が歴然と現れている。さらに中国の奥に入ると、そこには近代的な都市が広がっていた。ベトナムには、昔の中国が残っている。この雰囲気は、けっしてきらいではない。(BCN社長・奥田喜久男)

友誼関。中国に九つある関所の一つだ。ここでホーチミンと毛沢東が会談した
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