IT業界の流れは本当に速いものです。米コンパックコンピュータと米ヒューレット・パッカード(HP)が合併したのは、2002年のことでした。まさにパソコン全盛期の出来事で、IT業界に衝撃をもたらしました。それから10年弱が経過し、そのHPがパソコン事業の再編を発表しました。
すでに、タブレット端末とスマートフォン事業からの撤退は決めているようですが、端的にいえば、コンシューマ向けのパソコン事業は、世界最大手ですら収益を生むのが難しいということにほかなりません。まさに、スマートフォンやAndroid端末、またiPadが全盛期を迎えようとするとき、早々とそこに見切りをつけるとは、世界で展開するトップメーカーとして、市場を熟知するHPだからこそできる判断でしょう。
このHPを目標にしていた国内メーカーがありました。NECです。3年前の年末、当時の社長は「ハードウェアで生き残る」ことを掲げていました。補足として社長は「HPはハードで勝っている」と米HPを例に引き、クラウドに向かう競合メーカーとは動きを異にして、ハードで生き残りを図ろうとしていました。そのNECも、いまやクラウドやソリューション販売で世界に出ることに方向転換しています。このニュースからは、多くのメーカーが、粗利が稼げる法人向けの市場に光明を見出し、法人ユーザーが求めるクラウドのシステム提供にシフトし始めた――ということが読み取れます。(谷畑良胤)
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米HP、消費者向けPC事業を子会社化、タブレット端末とスマートフォンからは撤退を検討メールマガジン「Daily BCN Bizline 2011.8.22」より