旅の蜃気楼

ゆったりと働く中国人もいるんだ

2012/04/19 19:47

週刊BCN 2012年04月16日vol.1428掲載

【武漢発】武漢のホテルでタクシーを待っていた。少し離れた入り口からタクシーが2台近づいて来た。おや珍しい、両方とも女性ドライバーだ。運転技術は抜群で、ビルの前まで届けてくれた。武漢は長江沿いの古い街だ。『三國志』に登場する赤壁や、黄鶴楼といった名所がある。山峡ダムも近く、長江の西の内陸部にある重慶、東の沿海部にある上海の中間に位置する。人口979万人、中国全土の社会消費品小売総合ランキングでは7位と、ベストテンに入っている。街の近代化度合いは、肌感覚でいえば、北京、上海の10年前という感じだ。

▼インテック武漢を訪ねた。董事兼総経理の坂本一幸さんと副総経理の柳旭光さんに会った。坂本さんは2008年6月に、突然、中国勤務を命じられた。それまでは富山の本社でソフト開発に従事していた。「初めて海外勤務を命じられて、正直いって驚きました」。インテックは上海、大連、武漢に出先をもち、武漢はオフショア開発を担当している。武漢着任直後にリーマン・ショックに遭った。「影響はすぐにではなく、昨年あたりから出始めました」。今は事業規模を圧縮して、体制を変えている。重要な時期だ。

▼柳さんは武漢生まれ。父親は武漢大学の教授、本人は武漢大学を卒業して日本、カナダの企業で働き、30代後半で郷里に帰った。「若い頃は世界に憧れ、海外に出ました。しかし、親の面倒をみるために、郷里に帰りました」。インテックに勤務して8年になる。「中国人のすべてが慌ただしくパワフルに働いているわけではありません。親の面倒をみるために落ち着いた働き方をする人も多い」。意外な考え方を聞いた。坂本さんは言う。「中国で困ることはただ一つ。一人で食事に行けないことです。量が多すぎましてね」。豊かな中国の生活を垣間見た。(BCN社長・奥田喜久男)

インテック武漢の坂本一幸さん(右)と柳旭光さん
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