通信業界に詳しいあるITベンダーの幹部から、携帯電話の通信会社(キャリア)がなくなるかもしれない、という話を聞きました。スマートデバイスとネットサービスの発展によって、携帯電話の通信会社(キャリア)は、将来、「NTT東西のようなインフラの維持と電話番号の発行機関になる」という観測が出ているのです。
例えば、モバイルWi-Fiは、複数のデバイスをネットにつなぐのに便利なツールです。つながってしまえば、ソーシャルメディアやメッセンジャー、ネット電話で大半の用事を片づけることができます。ここで携帯キャリアが提供しているのは、通信回線と電話番号に相当するSIMカードだけです。
つまり、NTT東西が提供する固定回線で起きたことが無線でも起きるとすれば、今後、携帯キャリアは、インフラの維持とモバイルWi-Fi向けのSIMカードを発行する機関に……。あるいはそれさえもMVNO(仮想移動体通信事業者)が代行する可能性もあります。携帯キャリアの下請け的存在に甘んじている多くの日本の携帯電話メーカーにも影響しそうです。
いまはまだ、モバイルWi-Fiの電池のもちが悪かったり、より高速データ通信のLTEへの移行が完全でなかったりしますが、この携帯キャリアを巡っては、早晩メインプレーヤーが大きく入れ替わる可能性がありそうです。(安藤章司)
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