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制約が多いほどアイデアが湧く

 テレビ東京(テレ東)といえば、視聴率最下位が定位置だったのに、このところやたら好調だというので注目を浴びている。今から27年前、昭和天皇ご崩御に際して、日本中が追悼番組一色になったとき、この局だけは時代劇を放映していたことが強烈に印象に残っている。そんな“わが道をゆく”テレビ局でドラマプロデューサーを務める筆者は、自らがプロデュースしたり、監督を務めたり、脚本を書いたりした番組が1年間に5本もあるという。これは、異常に多い数字だそうだ。

 では、よほど恵まれた条件や環境で企画を練っているのか。とんでもない。筆者の入社当時の上司の言葉がある。「予算○○万円と聞いて、他局のプロデューサーが『そんな予算じゃ番組は作れない!』と言ったのに対して、テレビ東京のプロデューサーは『そんなに予算があったら、使い道がわからない』と言った」。予算が少ないので、制作会社から企画が回ってくるのは最後、出演者が出演先として選んでくれるのも最後、条件のいい原作が回ってくるのも最後。そんな三重苦を打破するためにはよい企画を考えるしかない! それを証明するのが、本書の第四章「ない」から生まれるナイスな閃き、である。その1/頼ら「ない」、その2/ブレ「ない」、その3/考え「ない」の「3ない」運動を勧めている。例:海外に行か「ない」⇒『YOUは何しに日本へ?』/ゲストがい「ない」⇒『モヤモヤさまぁ~ず2』……。カネをかけずにワンテーマで一点突破するテレ東的DNAが、人気番組に詰め込まれている。(仁多)


『テレ東的、一点突破の発想術』
濱谷晃一 著
ワニブックス 刊(820円+税)