パーソナルデータは新しい石油である――。今年2月に発行された野村総合研究所(NRI)の城田真琴・上級研究員の新刊『パーソナルデータの衝撃』(ダイヤモンド社)では、パーソナルデータを21世紀の価値ある資産として捉えています。
実は、このパーソナルデータを巡って各国・地域の対応が分かれています。GoogleやFacebookなど強大な力をもつ企業を数多く擁している米国は、世界中のパーソナルデータを“集められる”ポジションにいるため、特段の対応はナシ。
一方、EUは米国ほどのパーソナルデータの収集力がないため、なにかにつけてパーソナルデータをEU外へ越境させない規制強化に熱心です。中国に至っては外国のパーソナルデータを獲得する分にはいいが、自国のパーソナルデータは外に出さない“徹底ガード”ぶり。
米国は「国や地域ごとに壁をつくることは、オープンなインターネットの精神に反している」と主張。米国の有利なポジションを考えればごく合理的な意見。そして日本は、米国のようなポジションでもなければ、EUや中国のように守りに入るわけでもないようです。
パーソナルデータが“21世紀の石油”といわれる価値ある資源であれば、できるかぎり自国に多く集めて、国際的に有利なビジネスを展開したいもの。日本のIT産業界は、JISAやJEITAなどの業界団体を通じて、国への働きかけを強めているようです。(安藤章司)
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パーソナルデータの越境問題 “戦略商材”で国際的な駆け引きが激化 規制対応で新ビジネス創出の動きメールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.4.9」より