展示会の取材でフランスに行ったときのことです。初日にパリで携帯電話ショップに立ち寄り、現地のプリペイド式SIMカードを買い求めました。これをSIMフリーのスマートフォンに差し込めば、高額なローミング料金を払わなくても、滞在中に通話やデータ通信を行うことができます。

 SIMカードのセットと開通作業を終えた店員からスマートフォンを受け取ると、通話はできるようになっていたものの、データ通信用のアクセスポイントが設定されておらず、ネットにつながりません。店員に尋ねると「アクセスポイント? 何だそれは」との返答。自社の回線を使用するために必要な設定情報を、ショップの店員が知らないというのです。ショップで販売している端末なら最初から設定済みなので、そのような設定項目があることすら店員は認識してませんでした。

 「日本と異なり、アジアやヨーロッパでは回線契約と端末の販売が分離されている」。このような「定説」を耳にすることがこれまで少なくありませんでしたが、本当に端末の販売が分離されているなら、店員は客が持ち込んだ端末に最低限の設定を行うことは容易なはず。実態としては、日本と同じように携帯電話会社のショップで端末を買う人も多いのです。かたや国内では、かつて日本では定着しないと言われていたSIMフリー端末や、SIMカード単体の販売がますます人気を集め、定説を覆すことに挑戦したメーカーやサービス事業者が、その果実を手中に収めつつあります。

 われわれ記者も、一見説得力のある「定説」を聞くと、ついそれを記事中で使いたくなってしまうことがありますが、自分の目で確かめることをあらためて意識していきたいと思います。(日高彰)

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<BCNアナリストの店頭市況>ロックは2割減、フリーは3倍増のスマートフォン
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.4.22」より