上海から日本に一時帰国しています。 東京でIT企業を訪問して世間話をしていると、必ず話題に上がるのが、「中国の大気汚染はどんな具合ですか?」というもの。この質問は、帰国前から想定していて、もともとは「北京は確かにひどいですが、上海はたいしたことがありませんよ。マスクをつけている人もほとんどいません」と答えるつもりでした。

 しかし、いざ東京に着いてみて気が変わりました。東京の空は青く澄んでいて、遠くの景色を見渡すことができ、日差しがとても強くて、目が痛いくらいに眩しい。北京と上海とは大気汚染の差は歴然でしたが、上海と日本のそれもまたはっきりとしているのでした。私は先の質問の回答を「上海の空気は北京よりはマシですが、日本と比べるととても汚いです」と変えました。

 現地に身を置いていると、その環境に慣れてしまって、日本では普通ではないことでも、自然なことのように感じてしまいます。日系企業の駐在員は、夜の居酒屋で「日本本社は中国のことを理解してくれない」という話をよくしますが、それは自分が中国に染まってしまったがゆえに、日本にいる社員に不自然なことを、さも自然のことのように伝えているからかもしれません。日本にいる人の立場に立って伝える姿勢をもてば、うまく理解してくれるかもしれません。(上海支局 真鍋武)

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冬の北京といえば……
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.12.25」より