アップル、シスコ、HPなどのIT企業を経て、約2年前からネットワークテスト機器大手・イクシアコミュニケーションズのトップを務めるベサニー・メイヤーCEOに、先日インタビューする機会がありました。ざっくりしすぎた質問だとは承知しつつも、まず「それまでの企業からイクシアに移ってみて、どうでしたか?」と聞いてみたところ、興味深い答えが返ってきました。

 「とてもいい環境だと思います。今までの仲間とも友好的に仕事ができるのですから。テクノロジー業界では、こんな転職は珍しいのではないでしょうか」

 IT業界内で転職した場合、それまで所属していた企業が新天地においてはライバルになるというケースが少なくありません。しかし、イクシアは通信機器のテストソリューションを提供することで、ほかのIT企業のビジネスを支援する立場であり、それまでともに仕事をしてきた人たちを敵に回すことがないというのです。

 このような転職が実現したのは、技術者なら誰もが信頼を寄せる優れた製品を同社が提供しているからだと考えられます。ただ、さまざまなシステムやサービスが網の目のようにつながるクラウド時代には、業界内の企業同士が完全に競合するという関係はむしろ珍しくなり、「敵をつくらない転職」はもっと一般的になっていくのではないでしょうか。そして、ライバルと比較した場合の優位なポイントを増やすよりも、ひとつでもその企業、その人にしか提供できない何かをもっていることのほうが、強みとなるのかもしれません。(日高彰)

【記事はこちら】
イクシアコミュニケーションズ 日本でも一般企業向けに事業領域を拡大
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.10.19」より