多くのベンチャー企業が目標としている、株式市場への上場。しかし、上場時点では華やかなスポットライトを浴びたものの、直後から業績が低迷し、投資家の期待を裏切る結果となる企業も時として見かけられます。将来の成長ではなく、株式売却益だけを目的とした上場だったのではないか、との揶揄を込めて、このような企業の株は「上場ゴール銘柄」などと呼ばれることもあるようです。

 新興ストレージベンダーとして注目を集めながら、2017年6月の上場からわずか1年で経営破綻した米ティントリ。先日来日した再建責任者のフィリップ・トリコビク氏に、当時の上場について聞くと「あのタイミングでの上場は、ベリー・ベリー・ビッグ・ミステイクだった」との答え。最も進んだ資本主義経済の舞台である米国ですら、“上場ゴール”的な経営が行われていたようです。

 破産申請で多くの仲間が会社を去りましたが、営業部門長だったトリコビク氏は、給与支払いの見込みもない中で顧客対応に奔走。自身がティントリを辞めなかった理由は、シンプルに「私にはお客様がいたから」と説明します。そのかいもあって、大手顧客のつなぎ止めに成功。データダイレクト・ネットワークス傘下で再スタートを切り、今のティントリ事業は過去最高の業績。顧客・パートナーとともに成功するという、新たなゴールに向けて走り始めました。(日高彰)