BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『マンガでわかるブロックチェーンのトリセツ』

2020/09/11 09:00

週刊BCN 2020年09月07日vol.1840掲載

「減滅期の谷」に向かう今こそおさらい

 2016年ごろからバズワード的な盛り上がりを見せたブロックチェーンだが、近年は耳にする機会も減っている。しかし、消えゆく技術かといえばそんなことはなく、社会実装に向けた段階を踏んでいる、と言ったほうが正確だろう。

 米調査会社のガートナーは昨年10月、「ブロックチェーン・テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」を発表した。ハイプ・サイクルとは新たなテクノロジーが登場してから成熟して社会課題の解決に貢献していく、もしくは採用されずに消えていく流れを分析・予測、視覚化したものだ。ガートナーによれば、ブロックチェーンは数年前に「過度な期待」のピーク期を過ぎて、現在は減滅期の谷底に向かっているものの、2021年までに減滅期から脱し始め、社会・市場への普及が拡大するという。

 一時は日本の法人向けIT市場でも多くのプレイヤーがブロックチェーンの新規ビジネス立ち上げに走ったが、これもかなり淘汰されてきている印象。一方で市場としてはいよいよこれから本格的に拡大していくフェーズに入りつつあるわけで、改めてその可能性を考えてみるにはいいタイミングかもしれない。

 本書は著者である森一弥氏が所属するアステリアの自社サイトに連載されていた「マンガでわかる!?ブロックチェーン」に加筆・修正して、ブロックチェーンに関する網羅的な入門書に仕立てた。IT業界で働く人にとっては、非常に気軽に読める内容に仕上がっており、ブロックチェーンのおさらいにはピッタリだ。(霹)
 


『マンガでわかるブロックチェーンのトリセツ』
森一弥 著/佐倉イサミ 画
小学館 刊(1300円+税)
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