AIと共生する未来のために

　AIに関する話題がニュースなどで連日取り上げられている。その中でもOpenAIが開発した対話型AI「ChatGPT」が最も注目を集めていると言っていいだろう。人と会話するかのように自然な受け答えを生成するChatGPTは、私たちが「この先AIに仕事を奪われるのではないか」といった漠然とした不安を抱くほど、進化の速さを感じさせるものだ。

　本書は、ChatGPTの実力や技術的な背景、可能性、課題、ビジネス事例などをその分野の第一人者に質問する形式で深掘りする。現時点でChatGPTができること・できないこと、使う上での基本的な考え方を簡潔に説明。もっともらしい文章を生成するが、そこには時にうそが混じることもあり、真偽は必ず人がチェックする必要があるなど、使う際に心得ておくべき点も指摘している。AIをビジネスに使う際の注意点、犯罪に悪用されるリスクなど、良いことばかりではない側面にも目を向けている。

　AIは、課題をすべてを解決してくれるものではない。人をサポートするアシスタントとしてとらえ、共生していく未来のために、きちんと理解するところからスタートしたい。そんなメッセージが込められた一冊だ。（緑）
 

『先読み！IT×ビジネス講座 
　ChatGPT 対話型AIが生み出す未来』
古川渉一、酒井真理子　著
インプレス　刊　1540円（税込）