▼先日、ふと思いつき、東京から大阪まで在来線で移動した。「コスパ」「タイパ」と言われる時代に、半日も電車に乗り続けるのは非効率なのかもしれない。ただ、長い時間をかけて移動してみると、日本には多様な地域が広がり、そこに人々の暮らしがあることを、あらためて実感した。

▼かつて取材でお世話になった方の「『地方』という単一概念は存在しない」という言葉が記憶に残っている。「中央」から見れば、「地方」という概念は成立するかもしれないが、決して単一的な存在ではない。それぞれに特徴があり、単純に「地方」としてひとくくりにはできない。

▼IT企業の地方展開を取材する機会が増えている。成功している企業の傾向を考えると、その地域に何かしらの拠点を置き、地場のパートナーと手を取り合う姿勢が強い点が挙げられる。ある地域のSIerは、「地元に拠点があると、その企業の本気度を感じられる」と語っていた。

▼全ての企業があらゆる地域に拠点を置くことは現実的ではない。それでも、都市部にいては見えないものをとらえる手立ては必要だろう。本紙がその手助けになるために、私たちも、もっともっと全国各地に近づかなければならない。（無）