BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『筋肉はすごい 健康長寿を支えるマイオカイン』

2025/10/31 09:00

週刊BCN 2025年10月27日vol.2080掲載

がん予防にも一役買う

 一昔前と比べて、筋力トレーニングを気軽に楽しむ環境が整ってきたと感じる。ボディーメイクや体力の向上など、目的は人それぞれだろうが、筋トレに取り組む人が増えているのだろう。

 本書は筋肉が体内で果たす役割について最新の研究による知見を紹介した一冊だ。特に筋肉が健康に与える好影響にフォーカスして解説している。

 筋肉は体の動きの支援や、糖や脂肪を燃焼する代謝を担ったりする器官として認知されているが、臓器の働きを助ける役割もある。筋肉は「マイオカイン」という物質を分泌して全身の各所にメッセージを送ったり、逆に情報を受け取ったりして、がんの予防やうつの抑制に寄与しているという。

 マイオカインを活発化させるには日々の運動が有効とのこと。逆に運動不足になると筋肉のタンパク質や骨の強さに悪影響を与える「悪玉マイオカイン」の分泌が促進されるため、運動の習慣を身に付けることは欠かせない。筆者によれば30分のジョギングを1回行っても、10分を3回に分けても効果は同等とのことで、激しいトレーニングが難しくても、まずは気軽に体を動かすることが重要だ。(石)
 


『筋肉はすごい 健康長寿を支えるマイオカイン』
青井 渉  著 
中央公論新社 刊 1078円(税込)
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