BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『日清食品をぶっつぶせ 自ら創造し、自ら破壊せよ』

2025/11/21 09:00

週刊BCN 2025年11月17日vol.2082掲載

即席麺、3代目社長の足跡

 本社を爆破、主力商品が爆発──。「カップヌードル」でおなじみの日清食品グループのテレビCMは、一度見ただけで強烈な印象を残す。ユニークなブランド戦略の中心には、創業家3代目、日清食品社長の安藤徳隆氏がいる。本書では、計20時間以上のインタビューや周辺人物への取材を通して、安藤氏の経営哲学に迫っている。

 経営者の仕事について安藤氏は、会社が生み出すことのできる価値や、会社が戦う舞台が大きくなるようにデザインすることだと語っている。そう考えるきっかけは、学生時代に体験した、米Apple(アップル)元CEOのスティーブ・ジョブズ氏による「iMac」の爆発的なヒットだ。プロダクトの外見だけでなく、会社や組織のあり方、さらには消費者の生活をデザインしていく手法に、衝撃を受けたという。

 だからこそ社長の責任として、商品の味やパッケージ広告といった、ブランド価値に影響するアウトプットすべてに目を通す。なかでもCMで重視しているのはインパクトだ。マインドシェア(心の中の占有率)が一番高いものを買う傾向が強い日本の消費者にあわせてデザインしている。強烈な印象は、おいしい展開というより、仕込み通りというわけだ。(駄)
 


『日清食品をぶっつぶせ 自ら創造し、自ら破壊せよ』
安藤徳隆、竹居智久 著 
日経BP 刊 1870円(税込)
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