▼相次ぐ個人情報の流出に伴い、不審メールや電話への警戒心が高まっている。これまで海外から届いたと思しきメールは、明らかな日本語の違和感があったが、最近は生成AIでつくられた文章から不自然さが消えつつある。
▼サイバー攻撃ではAIによる自動化や高速化に加え、言語の壁が急速に低くなっていることにも注目したい。身に覚えのないメールのURLや添付ファイルは無暗に開かない、との基本を改めて徹底したい。
▼そんなことを考えていたら、旧約聖書の「バベルの塔」を思い出した。かつて人類は一つの言葉を話し、自分たちの力で天に届く塔を建てようとしたが、力の集中を危険視した神が人々の言語を分けた。意思疎通が難しくなった人類は、世界中へ散り散りになったとされる。生成AIはその流れを再現しているようにも見える。そして寓話になぞらえるなら、話はここで終わらない。生活にも攻撃の影響が出ている今、その後の混乱も懸念される。
▼もっとも、AIの恩恵を受けるのは攻撃者だけではない。言語の壁が低くなるなら、企業の海外展開も進めやすくなるはずだ。天にも届く大きな力は、前向きに使いたいものである。(駄)