店頭市場ピックアップ

デスクトップパソコン価格帯調査 10万円未満が激減 売れ筋は20万円台に

2002/01/14 16:51

週刊BCN 2002年01月14日vol.924掲載

 店頭での売れ筋パソコンに変化が生じている。1年前の2000年12月は、実売価格で15万円未満の商品が50.75%を占めていた。それが01年12月では34.64%にとどまった。代わって20-25万円未満の商品の販売比率が増加、20万円台の商品が35.47%を占める。これは液晶モニタやDVD-ROM搭載など、ハイスペックモデルが増加したことが大きな要因となっている。ここ数年、低価格化が続いていたデスクトップパソコンだが、価格下落に一応の歯止めがかかり、ハイスペックマシンを求めるユーザーが増加していることを示している。

高機能、高価格マシンが好調

 BCNランキングのデスクトップパソコンの販売データを価格帯別に分類し、01年12月と00年12月で比較すると、売れ筋の価格帯がこの1年間に大きく変化したことがわかる。


 00年12月は、低価格パソコンが大きな人気を集めていた。それは、売れ筋ベスト10の中に10万円未満の機種が3商品ランクインしていたことからも明らかだ。

 それに対し、01年12月の売れ筋ベスト10の中には、10万円未満のパソコンは1台も含まれていない。これは昨年11月16日にウィンドウズXPが発売になり、パソコンのハードウェアスペックが底上げされたことも1つの要因だが、メーカー自身がAV(音響・映像)機能の重視など、ハードウェアの付加価値を高めることに積極的であり、ユーザーもこうしたハイスペック製品を求める傾向が出てきたためだといえる。

 個人のパソコン普及率が上昇し、現在、パソコンを購入しようというユーザーは、「なんでもいいからパソコンが欲しい」という初心者ユーザーではなく、明確な目的をもってパソコンを購入する層が目立っている。

 利用目的に合わせてパソコンを選択しているユーザーが増えていることから、それぞれの商品をきちんと比較・検討した上で、購入する商品を選んでいる人が多い。つまり、目的に合致したスペックをもつパソコンならば20万円台でも惜しくはないと考えるユーザーが多くなっている。

 パソコンの売れ行きが鈍っている時期でもあり、メーカーとしても、低価格商品を売れ筋にするよりも、高価格で収益の高い商品を売れ筋にしていかなければ、利益が確保できない。例えば、AV機能を強化することで価格が高めになったとしても、そのような商品を売れ筋とすることは、メーカーにとって利益確保のための絶対必要条件でもある。

 それを考慮すれば、新たな機能を提案していくことで、売れ筋商品の価格引き上げを図っていく傾向は、当面続いていくことになるのではないか。実際に店頭では、「ユーザーは価値を認めれば、高い製品でも購入してくれる」という声があがっている。あとは、メーカー側がユーザーにとって価値があると認めてもらえるだけのモデルを提案していくことができるかどうか、商品力の勝負といえる。

 ベンダー別シェアでは、ソニーが優位となっているが、これはAV機能など、現在の店頭用パソコンのトレンドをいち早く実現しているからに他ならない。低価格パソコンが売れ筋だった時代には、デザインを除いてはメーカーごとの差はあまり見られなかった。20万円台の商品では、デザインはもちろん、採用しているCPU、メモリなどのスペック、スピーカーなどのAV機能に差が現れやすい。

 20万円台の機種が売れ筋となってくると、メーカー間の差は逆に出やすくなってくる。売れ筋商品の価格帯が上がったことは、メーカーの優勝劣敗をつけやすくすることにもつながる。02年もメーカーにとっては厳しい戦いを強いられることになりそうだ。(三浦優子)
  • 1