店頭流通

ソニーマーケティング バイオ出荷、180万台増めざす

2002/05/20 18:45

週刊BCN 2002年05月20日vol.941掲載

AVとITを融合した商品提案へ

 ソニーマーケティングの池戸亨副社長は、今年度(03年3月期)バイオ出荷計画180万台の達成に自信を示した。昨年度(02年3月期)のバイオ出荷台数は170万台だったが、これに対して「二ケタ増はやる」(池戸副社長)と、180万台後半の着地点を目指す。同社では、これまで音響映像(AV)とパソコン(IT)の営業部門が分かれていたが、今年度から両部門を一本化。テレビからパソコンまで、すべての営業を統括する立場となった池戸副社長は、「製品自体のAVとITの区別が急速に薄れつつある。AVとITを融合した流通網や売り場づくりを進める」と話す。

 今月30日から始まるワールドカップサッカー、年度内900万回線に達するというブロードバンド、またホットスポット(無線LAN)など、AVIT業界は追い風がいっぱいだ。バイオの品揃えも大幅に拡充した――。池戸副社長は、今年度のバイオ出荷台数を昨年度二ケタ増の180万台後半にもっていく根拠を、こう説明する。「バイオの販売台数を伸ばすだけでなく、バイオとつながるデジカメやビデオカメラ、ホームシアターなど、AVとITをひとまとめにして提案することで、収益性を高める」と意気込む。

 池戸副社長自身、昨年度まではパソコン(IT)部門の担当だった。今年度からは、バイオからホームシアターまで、すべての営業を統括する。販売店との営業窓口である「量販営業部」においても、同様の改革を実施した。販売店に対して1人の責任者がAVからITまですべての製品営業の責任をもつ。逆に販売店から見れば、AVとITの窓口が一本化したことになる。「販売店の商品部のなかには、ITの仕入れ担当者と、AVの仕入れ担当者が異なる場合が少なくない。バイヤーが『これは私の担当じゃないから…』と商談に応じてくれない。これではAVとITが融合した売り場はつくれない。この点、立ち上がったばかりのエディオン(岡嶋昇一社長)は、AVとITの融合した新しい売り場づくりに積極的だ」と、販売店によって対応の違いが明確になりつつあると話す。

 AVとITの組織が一本化したことを受けて、ソニーマーケティング社内では、AVITの呼称を“AIVT”に読み違える習慣が定着した。融合を進めるには、まずは「名称そのものも融合させなければ」という意気込みを「AIVT」に込めた。「夏商戦向けに、手のひらサイズのバイオUシリーズを投入した。6月には全6色から選べる新型サイバーショット、ソニー初の液晶テレビなど、新しい“AIVT製品”を投入していく。ハンディカムやクリエもある。これらをどう組み合わせて実売に結びつけるか。販売店とより密接な連携が必要になってくる」と訴える。「大型フラットテレビ『ベガ』の販売では、DVDプレーヤーと5.1チャンネルスピーカーを組み合わせ、うまくホームシアター事業(ソニーではベガシアター事業と呼ぶ)を立ち上げた。日本でのホームシアター市場は、ソニーに理解を示していただいた販売店との密接な協力のもとに開拓できたと自負している。同じことが、バイオを中心としたAIVT事業でもできるはずだ」と話す。
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外部リンク

http://www.sony.jp/