店頭流通

NECカスタマックス モバイルノートには慎重

2002/06/03 18:45

週刊BCN 2002年06月03日vol.943掲載

 NECがモバイルノート新製品の投入時期を見計らっている。競合のソニーが「1人1台から1人複数台に」を合言葉に、この夏モデルからバイオUなど新モバイルパソコンを投入し、東芝もモバイル製品を強化している。折しもホットスポットなど無線LAN普及の追い風が吹くなか、NECも本格的なモバイルパソコン投入のタイミングを推し量る。ソニーは、今年度(03年3月期)のパソコン出荷台数を180万台後半に設定しているのに対し、NECは同145万台(家庭用のみの台数)と控えめだ。

対ソニー戦略でタイミング図る

 NECカスタマックスの片岡洋一社長は、「ソニーはモバイルやAVパソコンを製品化するのが早い。だが、製品だけを先行させてはリスクが大きいだけ。本当に使い勝手がよいサービスを提供できる環境が整ってからでないと、製品化する意味がない」と、新しいジャンルの製品投入の時期を模索する。

 同社マーケティング本部商品企画部・越坂悦大マネージャーは、「1人複数台を実現するとされるモバイルパソコンの販売状況は、ノートパソコン全体のわずか15-20%。この比率は増える気配がない。結果から見れば、仕事で使うか、モバイル好きのマニアか学生などの特定層にしか支持されていない」と慎重だ。

 また、「モバイルパソコンは、どんなにがんばっても1kg近い重量になる。ホットスポット(無線LAN)が普及しても、ユーザーが重いモバイルを持ち歩くとは考えにくい」(越坂マネージャー)という。

 NECでは、B5薄型のラヴィJシリーズ(約1.4kg)を投入した。だが、「仮にこの手の軽量パソコンの品揃えを増やしたとしても、1モデル当たりの販売台数が減るだけで、モバイルノート自体の市場は拡大しない。製品化は簡単だが、モバイルノート市場を拡げるには、もう一押しできるサービスや仕組みづくりが不可欠」と、この夏モデルでは、バイオUに対抗する携帯型ノートパソコンの投入を見送った。

 片岡社長は、「ソニーにモノ(製品)だけで先行されても、すぐに追いつく自信がある。まずは冒険せず、顧客に受け入れられるサービスやソリューションが整った段階で、モバイルノートなど新しい製品ジャンルを増やしても遅くはない」と、最適なタイミングを虎視眈々と狙う。
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